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享一×泰司(完結)(社会人)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「がああぁっ! もうっ! 何でっ!」
「何でっ、て?」

 煙を吐きながら享一が溜息混じりに訊く。

「Whyだよっ! ちきしょ~っ」
「駐禁だろ」

 享一はあっさりそう答え、ショックでふらつく泰司の肩を抱えて部屋へと連れ戻った。
 呆然と座り込む泰司に水を飲ませる。泰司はんぐんぐっと一気にコップを空けて虚ろな目で享一を見た。

「享一……」

 今にも泣き出しそうな泰司の姿に享一は苦笑いを浮かべる。

「明日、俺が取りに行ってやるから」
「うん……」

 享一は泰司の頭をくしゃりと撫でた。




 仕事から戻った享一は、自宅アパートのドアに鍵を差し込んだ。ドアの鍵がかちゃり、と鳴る。

「……?」

 確かに今、シリンダーの中が回る音がしたはずなのに、ドアが開かない。不審に思い、もう一度鍵を差し込み、かちゃりと鳴らす。
 開いた。……という事は、今まで鍵が開いていた? 朝、閉め忘れて出たか、それとも空き巣に入られたか……。
 部屋の中はいつも享一が仕事から戻った時と同様、真っ暗。享一は慣れた手つきで部屋の明かりを点けた。

……やっぱり。

 ざーん。

 車のエンジンを止めて初めて自分達がどこにいるか判った。

「ちっきしょー、お前、クソナビ。わざとだろ」

「俺にナビ頼んだんだから、俺の行きたい所に行かせろっての」

 夜中の一時、寝入り端の享一の元に、念願の運転免許とマイカーを同時に手に入れたと、まだたどたどしい運転で泰司が突然やって来た。中古だがスポーツタイプのその車は、前の所有者がかなりのこだわり派だったらしく、足まわりにかなり手が加えられ、一見したところ、初心者が乗っているとは到底思えない。そんな車にとても似つかわしくない、葉っぱのマーク。

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