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誰もがきっと、誰かの。(103)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 震えるようにゆっくりと手を上げ、弧を描くその唇を指先でなぞる。すると、貴史の笑みが深まった。その表情を確かめるようにそっと、貴史の頬に手のひらを添わせた。

 少しの間、見つめ合い、そしてどちらからともなく唇を寄せ合った。

 重なる唇。

 今、歪(ひず)んだ空間に取り残されていた運命が、正しい場所に戻ってゆく。

 そして同時にそれぞれが別々に刻んでいたふたりの時も、そっと寄り添い、重なった。
 
 ゆっくりと動き始めた時間。

 これからは、貴史とともに。

 唇を柔らかさをその唇で確かめ合い、小さく唇を開いて互いの唇を食み合う。はずみで思いがけず舌先が触れ合うと、そこから全身に甘い痺れが広がった。

「ん、……」

 鼻を抜けて甘い声が零れる。これ以上キスを続けたら、歯止めが効かなくなりそうで、生は貴史の胸に手のひらを宛てがい、二人の間に僅かに距離を置いた。

「貴史、……」

 身体の奥の方で火の灯った欲望。欲するままに、貴史を求めてもいいのだろうか。

 生は困ったように笑って、無言で貴史に訴えた。

「生、三週間前の続き、……してぇんだけど、……」

 生の思いを知ってか知らずか、貴史が遠慮がちに問いかける。生は笑って、小さく頷いた。

「僕も今、同じこと思ってたところだよ」

 穏やかに笑って声を返すと、貴史は暗闇の中なのに、眩しいものを見るように生を見つめた。

「俺んち、……来る?」
「このまま返されたら僕、もう立ち直れないよ」

 冗談混じりで返し、ふたりで額を付け合って笑った。公園を抜けるまで手を繋ぎ、一緒に貴史の家へと向けて歩きはじめた。



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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)まりがとんございマス(*´∀`)
>秘密拍手コメYさん(*´∀`)

こんな言葉生が言うかなぁとか
ちょと不安に思いながらうぷりましたが
ダイジョブだたでしょかw
今夜から始まりますw(何がw)(ナニがw)
またーりなるべく詳細にできればいいなぁと思ってますんで
お付き合い何卒よろすくおながいします!

コメあざした!
2010/01/11(月) 23:12 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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