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雨がやんだら(13)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 仕事からの帰り道、ホテル前はまた礼服とドレスが集まっていた。また土曜か、とその人だかりを見て思う。
 
 あれから一週間。背後の痛みはとっくに引いた。けれども心の端っこで燻っている気持ちは収まらず、むしろじりじりと延焼しているかのようだった。それを熱い湯で流してはもみ消す、一週間だった。
 歩のスーツはクリーニングに出してはみたが、返すあてもなく慎治のスーツと一緒にクローゼットに眠っている。使われなかった一万円は、慎治の食費に充てられあっと言う間になくなってしまった。

 自宅マンションのエレベーターを降りると、部屋の前に歩が立っているのが見えた。遠目にその姿を捕えただけで心臓を掴まれたように、瞬間、動けなくなる。歩も慎治に気付いてこっちを向き、部屋前まで来るのをじっと待っている。

 何をしにきたのか。スーツを取りに? 服返しに? またヤりに? 金借りに? ――あんま手持ちねんだけどなぁ……。

 自分を茶化すように頭の中に言葉を並べ、どうにか足を出す。

「どしたの歩。何かあった?」

 歩の前に立つとその頬に触れたくて手が疼いた。キスしたくて唇が乾いた。腹の底がぎゅん、と鳴った。それを誤魔化すように唇を一舐めし、拳で一度、腹を叩いた。

「……うん、コレ」

 ずい、と差し出されたのは、先週慎治が貸した服の入った袋と、あるブランドの直営店の紙袋。慎治の勤める百貨店には入ってない店だ。

「何だよコレ?」
「…………えーっと……」
「……中、入ってけよ」

 小さく頷く歩を促して、部屋の中へと入れた。ソファに座らせ、コーヒーメーカーに豆と水をセットする。コーヒーが入るまでに着替えを済ませた。コーヒーの入ったマグを手渡すと、先週のデジャブに陥った。

「……それ、あんたに」

 歩がテーブルに置かれた先程の紙袋に視線を遣る。

「慎治だ、っつってんだろ何度も言わせんなって」
「……慎治さん、に」
「そーそーそれでいんだよ」

 満足そうに頷いてテーブルの紙袋を取る。

 スーツのトップブランドの一つとも言える店の紙袋に入っていたものは、一本のネクタイだった。ネクタイといえども一本に二万円近くはするはずだ。

「……コレを? 俺に? なんで?」
「兄貴に贈るのやめたから。こないだのお礼と……」
「お礼? これじゃもらいすぎだろ?」

 取り出して包み紙を外し、百貨店の店員が商品を扱う丁寧な仕種でネクタイを持ち上げそれを眺める。


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コメント
…きたね?
坊や、また愛に…否、逢いにきたね?
わたしの腹の底もぎゅんっって鳴りました
胸キュンを通り越した瞬間...腹ギュン
歩はボンなんすか?金もってそう

いえいえいえいえいえいえ!
休憩残り数分でコメ入れたもんで…
あわあわしてたもんで…
せっまいところで一人寂しく休憩、
しかも自分のパソ持ってってるため
思う存分、舐めるように見れましたんv
2007/11/18(日) 01:11 | URL | ハナ #ZJmJft5I[ 編集]
きちゃったv
胸キュン<腹ギュンwwwww
歩の家庭は普通に中の上くらい…?
ニータンにあげようと思ってたものの予算がそれくらいだったと思っちゃってくだちぃ
ちなみに東京都心なイメージでお送りしてますが
東京にユカリがない私の中では
コイツらめっさ大阪市内でウロウロしてますwwww
ちなみに慎治は心斎橋そごう勤務…wwwww
ついでに歩がもってきたネクタイはヒューgoボス
歩のスーツはpoールスミth
…のつもりwwwwwwww

ハナさんの興奮伝わる拍手コメ、
すごい嬉しかったですv
また職場からも来てねv
2007/11/18(日) 02:57 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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