「飲まねぇのかよ」
大敬の心の機微などまるで気に留めた様子もない山中が、大敬の手の中のペットボトルを顎で指して問いかける。それが一層大敬の苛立ちを煽った。
「……ジで」
「あぁ?」
「マジでなんなんすか、コレ」
上司だからとこの際構ってなどいられなかった。視線をペットボトルから山中に移し、眉を寄せて山中を睨みつけた。
大敬の心の機微などまるで気に留めた様子もない山中が、大敬の手の中のペットボトルを顎で指して問いかける。それが一層大敬の苛立ちを煽った。
「……ジで」
「あぁ?」
「マジでなんなんすか、コレ」
上司だからとこの際構ってなどいられなかった。視線をペットボトルから山中に移し、眉を寄せて山中を睨みつけた。
「何って?」
山中は、全く怯んだ様子もなく、呑気な様子でサイドテーブルに置かれた灰皿に煙草の煙を落とした。
さすがに大敬の怒りが伝わっただろうか。
けれども山中は大敬の思惑などどこ吹く風で、大敬の怒りの原因が分からないといった不思議そうな表情で大敬を覗き込んだ。大敬を宥めようとでも思っているのか、山中の手が大敬の髪に伸びてくる。大敬は当然のようにその手を苛立った様子で払いのけ、視線で山中の動作を制した。
「他人(ひと)からあんな好いように扱われたの、俺初めてっすよ」
「なかなか悦かっただろ?」
何を怒っているんだ、とでも言うかのような余裕の笑み。大敬は苛立ちを隠さずに、ハァ? とますます山中を睨みつけた。
「俺同意しましたっけ」
「確かにお前から『ヤりたい』とは聞いてねぇな」
だからどうなんだよ、とでも言うかのような白々しい表情で、山中が素直に頷く。
どうやったらこの男を言葉でねじ伏せることができるのだろう。
大敬は、ヤケのように手の中のペットボトルのキャップを開け、一気に半分近く中身を飲み干した。手の甲で荒々しく口元を拭い、精一杯の怒りの表情を山中に向けた。
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「なかなか悦かっただろ?」
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だからどうなんだよ、とでも言うかのような白々しい表情で、山中が素直に頷く。
どうやったらこの男を言葉でねじ伏せることができるのだろう。
大敬は、ヤケのように手の中のペットボトルのキャップを開け、一気に半分近く中身を飲み干した。手の甲で荒々しく口元を拭い、精一杯の怒りの表情を山中に向けた。
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