「――は?」
「煙草」
「へ?」
「お前吸わねぇもんな。俺の健康のためにも、いい機会だし」
うんうんと鷹揚に頷いて、山中がサイドテーブルに置かれていた煙草の箱を取ったかと思うと、それをくしゃりと握り潰してごみ箱に投げ捨てた。
「煙草」
「へ?」
「お前吸わねぇもんな。俺の健康のためにも、いい機会だし」
うんうんと鷹揚に頷いて、山中がサイドテーブルに置かれていた煙草の箱を取ったかと思うと、それをくしゃりと握り潰してごみ箱に投げ捨てた。
「今度お前が来るまでに部屋からもにおいがなくなってるよう鋭意努力する」
「え? いや、え? なんでだよ?」
全てを思いのままに進める山中が、まさか大敬のひとことでそんな簡単に日頃の嗜好を捨てるとは思いもよらず、戸惑いとともに僅かな罪悪感が大敬の心をチクリと刺す。
言って置きながら言うことを聞かれようものなら戸惑う、そんな大敬にも山中は愛しさを隠さない笑みを浮かべ、軽く肩を竦めた。
「そりゃ……その程度にはお前のこと想ってる、ってことだろ?」
「ばっ……」
思わず、頬が熱くなる。
何も、言えなくなった。
結局大敬は山中からほんの僅かな言葉で言い負かされた形で、小さく唇を尖らせて俯いた。
夕べも今朝も、終始一貫して言えることは。
山中は俺様で、最強にエロい。
大敬には、到底勝ち目もない。
「――俺がこんな……エロビデオさながらの恥ずかしい台詞を吐かれることになるなんて、山中さんに飲みに誘われた時には想像もしませんでしたよ」
悔し紛れに俯いたまま、ぼそりと呟いた。
そんな大敬の様子をどう受け取ったのか、山中は換わらず鷹揚な仕草で、大敬の斜め前、ベッドの縁に腰を下ろした。
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「ばっ……」
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大敬には、到底勝ち目もない。
「――俺がこんな……エロビデオさながらの恥ずかしい台詞を吐かれることになるなんて、山中さんに飲みに誘われた時には想像もしませんでしたよ」
悔し紛れに俯いたまま、ぼそりと呟いた。
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