そのあとも、山中の的確な支店選びのおかげで、西へ西へと遠回りすることなく支店を巡ることができた。また同時に、山中がなんと話を通しておいてくれているのか、大敬は行く先々の担当者に歓待された。
「――ありがとうございました」
「いえいえ。こういう時はお互い助け合わないとね」
ビジネスホテルでの一泊を経て、最終地点の神戸でも、訪問時刻がちょうど昼休みの真っ最中になったというのに、そこでも歓待を受け、そして「がんばって」と激励とともに見送られた。
どうにか集まった商品。ハッチバックにそれらが山積みの社用車に乗り込んで、大敬は安堵の一息を吐いた。
胸ポケットを探り、携帯電話を取り出す。
リダイヤルの1、電話はこの二日、そこにしかかけていない。山中の携帯電話。
大敬はもう一度深呼吸してから、ボタンを押した。
「――お疲れ様です。田辺です」
『おう、お疲れ』
いつものあっさりとした山中の返答が疲れた身体にどこか心地よく、二日間の緊張感から開放された気さえする。
「今神戸終わりまして、これで全部集まりました」
『そうか、間に合って良かった』
「はい、ありがとうございます。ほんとに……山中さんの、おかげで」
つまらない意地を張ってしまった自分への反省も含めて、心の底から思った通りの言葉を遠慮がちに使った。電話の向こうで山中がほんの少し微笑んだのが分かる。
『ああ。ほっとしすぎて気を抜かないようにな。安全第一で戻って来い』
「はい、気をつけます」
『遅くなっても待ってるから』
「……、はい」
なぜか、胸がぎゅっと締め付けられる。
切なくなるような気持ちを断ち切るように、失礼します、と電話を切った。
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思ったように文が書けません(´Д⊂ヽ
ブランクって無慈悲ですねorz
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『ああ。ほっとしすぎて気を抜かないようにな。安全第一で戻って来い』
「はい、気をつけます」
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