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じゃじゃ馬ならし(40)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 夜の都会の車道を、山中の運転で東京駅へと向かう。

 助手席からちらりとスピードメーターを見やると結構な速度が出ているのにもかかわらず、同乗している大敬にそれを感じさせない。社用車は一般的なバンで、高級車ではない。ということは山中の運転が巧いのだろう。

 こういうのを安心できる運転、というのだろうか、などと思いながら、大敬はゆったりとシートに身を預けた。

「眠いか?」

 大敬の疲れを慮ってか、いつもより抑えたトーンで山中が問う。

「いえ。体力だけはありますから」

 ゆっくりと山中に視線を向ける。対向車のライトに照らされるたび、山中の輪郭が浮かび上がる。目と眉の距離が狭く、彫りは深めといえるだろう。すっと通った鼻梁。その下には、程よい厚みの唇。女子社員が騒ぐのも頷ける、横顔。

 ――あの唇に俺、……。

 一山超えた安堵で、この二日忘れていた記憶がまた蘇り、頬が熱を持つ。仕掛けてきた当の本人は平然と車の運転を続けている。

 ――なんで俺が顔赤くしないとなんねんだよ。

 不貞たように、小さく唇を尖らせた。

「見惚れてんのか?」

 いつの間にか赤信号になっていた。くるりと大敬に顔を向けた山中が、にやりと笑う。

「ちがっ……」

 違わなくはなかったが、そうだとは絶対に答えたくない。嫌そうに顔を顰めると、山中は嬉しそうにも見える笑みを見せた。

「とにかくお疲れ。今日は……帰宅は遅くなるだろうから無理だろうが、土日にはしっかり休んでまた月曜。元気にまたこっちに来い」

「はい……そう、すね」

 まだ自分のミスを引きずる大敬は、山中の労いの言葉に、少しいたたまれない気分になる。

 信号が青になり、車は再び静かに走り出す。

 大敬は一度うつむいて、そして山中と同じ方向を見た。




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参考:貴史×生


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