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じゃじゃ馬ならし(43)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「せっかくの休みに家でゴロゴロしかできないのかね、この子は」

「うるっせぇなぁ」

「年がら年中サッカーやってた子が……ちょっと走るなり何なりしてきたらどうなの。どうせ平日にも体動かしたりしてないんでしょ? 今はいいけどこんな生活してたらすぐ太るわよ」

「あーもー……」

 やっと訪れた休日。疲れ果てていた大敬は、土曜のほとんどを寝て過ごした。

 日曜はさすがに早くに目も覚めたので、ちょっと走り込みにでも行くかなと漠然と考えていた時の母のこの台詞である。やる気もなくなるというものだ。自分に部下ができたときにはこんな物言いは絶対しないでおこう、などと思いながら、嫌味たらしく大敬の側に掃除機をかけながら近づく母から逃げるように、大敬はコーヒーカップを持ったままリビングのソファからダイニングテーブルへと移動した。
 高校生まで使っていた自分の部屋は、大学の四年間と、就職後丸六年の一人暮らしのうちに、母親の趣味であるレザークラフトの部屋に変貌を遂げてしまっていた。もうすぐ教室を開くとかで、彼女の熱の入れように比例して大敬の荷物は追いやられ、今となっては最早、残されたベッドのみがそこが大敬の部屋だったことを示す唯一のものだった。

 実家での居場所がない。

 もともとこの性志向だ。親と同居はやりにくいとは思っていた。しかし週の半分が関東、半分が実家のある関西という生活で、こちらにも宿か一人の住まいを探すとなると、関西滞在分には会社から手当てが出ない分、金銭的に負担が大きくなる。平日はほぼ寝に帰るだけだからまだいいが、土日ごとにこんな窮屈な思いはしたくない。

 掃除機の音をどこか遠くに聞くようにぼんやりしながら、手にしているコーヒーをすする。いつの間にかすっかり冷めてしまっていたコーヒーを飲み干して、大敬は小さく溜息をついた。




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参考:貴史×生


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