山中が部屋の鍵を開ける。
結局片手に大敬の荷物を持った山中のもう片方の腕に抱きかかえられたまま、ここまで連れて来られた。否、山中の有無を言わさぬ様子からして連れ込まれた、と言った方がいいかもしれない。
「田辺」
玄関に入ったと同時に壁に背を押し付けられ、顎を取られた。
見つめられ、その瞳の強さに瞬きさえできずに動けなくなる。
結局片手に大敬の荷物を持った山中のもう片方の腕に抱きかかえられたまま、ここまで連れて来られた。否、山中の有無を言わさぬ様子からして連れ込まれた、と言った方がいいかもしれない。
「田辺」
玄関に入ったと同時に壁に背を押し付けられ、顎を取られた。
見つめられ、その瞳の強さに瞬きさえできずに動けなくなる。
少し首に角度を付け、山中の唇が近づく。
いつもの自信が漲る唇に、ほんの少しのかさつきを見つけた。
けどその僅かな疲弊感が、却って大敬には扇情的だった。
間近で見たら、とんだ色男だな、などと思ってしまった。
山中に応えるように、大敬も唇を薄く開く。
もう少しで鼻先同士が触れ合おうかというそのとき、横目に寝室が映った。寝室で見たあの写真が脳裏を過ぎり、そこではたと我に返った。
「や、山中さん」
緩く握った拳で山中の胸元をやんわりと押し返す。
「あ? 何だよ」
おあずけを食らったとばかりの不満顔で山中がふてぶてしく問う。
「そんな格好のままいいんすか? えっとその、スーツ、汚れる、っつうか、シワになる、っていうか」
「お前と汚すなら逆に燃えたぎるってモンだろ?」
何おかしなことを言ってるんだ、とでも言いたげな物言いで大敬の両手首を取り、行為を続けようとするところをまた、なんとか山中の手ごと押し返した。
「てか、山中さんその服大丈夫なんすか? そのなんてか、礼服、みたいですし」
「あぁ、そっか……だな」
自身の胸元を見下ろし、山中も我に返ったらしく、山中は大敬を掴む手の力を緩めた。
悪ぃ、と大敬から体を離すと、山中はまだ靴さえ脱いでいなかった玄関から部屋へと入った。
大敬が取り残されたように山中の背中を見送っていると、山中が「入れよ」と大敬に振り返ったので、少しの間を置いて大敬も山中に続いた。
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「あ? 何だよ」
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「そんな格好のままいいんすか? えっとその、スーツ、汚れる、っつうか、シワになる、っていうか」
「お前と汚すなら逆に燃えたぎるってモンだろ?」
何おかしなことを言ってるんだ、とでも言いたげな物言いで大敬の両手首を取り、行為を続けようとするところをまた、なんとか山中の手ごと押し返した。
「てか、山中さんその服大丈夫なんすか? そのなんてか、礼服、みたいですし」
「あぁ、そっか……だな」
自身の胸元を見下ろし、山中も我に返ったらしく、山中は大敬を掴む手の力を緩めた。
悪ぃ、と大敬から体を離すと、山中はまだ靴さえ脱いでいなかった玄関から部屋へと入った。
大敬が取り残されたように山中の背中を見送っていると、山中が「入れよ」と大敬に振り返ったので、少しの間を置いて大敬も山中に続いた。
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