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じゃじゃ馬ならし(48)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「まあ気になるよな、こんな格好だし」

 山中が苦笑しながらスーツを脱ぎ、ハンガーに掛ける。そのままそれを持って一旦寝室に消え、出てきたときには山中はTシャツとスウェットというラフな格好になっていた。

「座れよ。ビール飲むか?」

 冷蔵庫を覗きながら山中が尋ねる。

 酔わせてまた大敬を抱こうとしているのか。

「いや、俺は……」

咄嗟に断ろうと声を返した。

 だが、酔っていてもいなくても、抱かれてしまうのだろうということは大敬自身予感している。

 ここに来た以上、そういうつもりだと暗に山中に言っているも同然だろうし、大敬本人も覚悟はできているつもりだった。

 二度も抱かれてしまっているため今更な気もするが、アルコールの勢いを借りたほうが、まあ、要するに、こう、素直に抱かれてやろうという気になれるかも知れない、とふと思った。

 ほんの0コンマ数秒でそれだけのことを考えた大敬は、「やっぱいただきます」と言い直し、そして大敬も出張用の旅行カバンから取り出した部屋着に着替えた。

 広めだが、単身者向けのマンションの部屋。

 ダイニングテーブルはなく、机といえばローテーブルが一つ、テレビの前に据えられているだけである。山中は冷蔵庫から取ってきた二本の冷えた缶ビールをそのテーブルに置き、一本の前に腰を下ろした。それに倣うように、大敬ももう一本の前に腰を下ろす。

「飲めよ」

 山中に顎と視線でビールを勧められ、大敬は「いただきます」とビール缶に手を延ばした。

「今日はまあ……法事だったんだけど」

 お疲れ、と静かな乾杯ののち、ほんの一瞬の沈黙の後、山中が口を開いた。

「まぁその、じーさんの7回忌だな。95越えの大往生だったからあの世でも元気にやってんじゃねぇかな」

「そう……すか」

 意外に軽い口調の山中の声に拍子抜けしてしまう。じゃあ、『一人になりたくなかった』という山中の言葉はなんだったのだろうか。

 ――超おじいちゃん子だった、とか?

 およそビールの飲み方とは思えない、ちびりちびりと缶をすするように飲みながら、上目で山中を見た。



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参考:貴史×生


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