「なんか疑惑の目を向けられてるような気がするな。納得行かねぇ、って表情(かお)だな」
「そんなこと……、まぁ、少し」
目はクチほどにものを言っていたか、気付かれているのならこの際だから聞いてしまおう。確かに色々納得させて欲しい。させてくれるんでしょうね、と言いたげに、じっとりと山中を見つめた。
目が合うと、山中はほんの少し目元を綻ばせ、観念したようにふぅ、と小さく息を吐(つ)いた。
「そんなこと……、まぁ、少し」
目はクチほどにものを言っていたか、気付かれているのならこの際だから聞いてしまおう。確かに色々納得させて欲しい。させてくれるんでしょうね、と言いたげに、じっとりと山中を見つめた。
目が合うと、山中はほんの少し目元を綻ばせ、観念したようにふぅ、と小さく息を吐(つ)いた。
「まぁ親戚が集まると、家族はいいなぁとか、ちょっと思うわけよ」
山中がどこかぽつりと呟くように話し始め、肩をすくめて缶を傾けた。コクリと小さな音を立てて、喉仏が上下する。
なぜか、山中のそんな小さな動きを見ていると、じくりとカラダの奥が疼く。
これは要するにぶっちゃけ、認めたくはないが、山中に欲情しているのだった。
それがまた少し、面白くない。
その気持ちに正直に、大敬は黙ったまま小さく唇を尖らせ、またビールをすすった。
「兄貴がな、俺の幼馴染と結婚したんだ」
「……? はぁ」
なんの話か読めずに、曖昧に相槌を打つ。そんな大敬の内心を知ってか知らずか、山中は大敬をちらりと見やるに留め、話を続けた。
「兄貴とはふたつ違いなんだけど、俺とわりとよく似ててな、当然その子供は兄貴に似てて、そうすると俺にも似てて」
「はぁ……、……あ」
やっと山中の話の意図が読めた。
――もしかして。
写真の中にいた、山中の面立ちに似た子供。あれは山中の子供でなく。
「お兄さんの、子供、……」
合点がゆき、思わず呆然と呟いた。
「その俺の幼馴染が、俺がこんなだ、つうかまあ、俺の性志向を知ってるんだけど。そいつと俺と姪っ子と、三人で撮った写真を持っとけって、虫除け、っつったか……いや違うな、魔除け、つったか、ここ遊びに来たときに、フレームに入れたのを、置いてったんだよな」
言い終えると山中は苦々しく笑って、肩をすくめた。
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山中がどこかぽつりと呟くように話し始め、肩をすくめて缶を傾けた。コクリと小さな音を立てて、喉仏が上下する。
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これは要するにぶっちゃけ、認めたくはないが、山中に欲情しているのだった。
それがまた少し、面白くない。
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「兄貴がな、俺の幼馴染と結婚したんだ」
「……? はぁ」
なんの話か読めずに、曖昧に相槌を打つ。そんな大敬の内心を知ってか知らずか、山中は大敬をちらりと見やるに留め、話を続けた。
「兄貴とはふたつ違いなんだけど、俺とわりとよく似ててな、当然その子供は兄貴に似てて、そうすると俺にも似てて」
「はぁ……、……あ」
やっと山中の話の意図が読めた。
――もしかして。
写真の中にいた、山中の面立ちに似た子供。あれは山中の子供でなく。
「お兄さんの、子供、……」
合点がゆき、思わず呆然と呟いた。
「その俺の幼馴染が、俺がこんなだ、つうかまあ、俺の性志向を知ってるんだけど。そいつと俺と姪っ子と、三人で撮った写真を持っとけって、虫除け、っつったか……いや違うな、魔除け、つったか、ここ遊びに来たときに、フレームに入れたのを、置いてったんだよな」
言い終えると山中は苦々しく笑って、肩をすくめた。
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