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好きすきスキと言わせたい(9)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「そんなのお前……俺の愛でガッツリカバーして……」
「おーいカズー、次の次お前ー」

 ヒクつく笑顔で返す怜史の言葉が佐伯を呼ぶ声に遮られた。

「はーい。んじゃ怜史、またな」
「あ、おう、またな」

 軽く手を挙げ軽快に去って行く佐伯の後姿を怜史が恨めしそうな目で見送る。打ちかけのメールを思い出し、携帯に視線を戻した。


 ――来る者拒まず。

 先刻の佐伯の言葉が気になってメールが打てない。

 考えてみれば怜史の一目惚れから始まったともいえるこの付き合い、きっかけは男女の出会いのための合コンだった。榛名がそこに来ていたという事は、誰かめぼしい女がいたら持ち帰るなり付き合うなりしたのかもしれない。

 いつも笑って怜史を受け止めてくれてはいるが、怜史の猛攻に榛名が押された、という印象は否めない。そして記憶を手繰って思い返してみれば、榛名から「好きだ」の言葉を聞いた事がなかった。更に榛名の身体は明らかに、男を受け入れるという事を知っていた。

 榛名の容姿、性格、年齢を思うと過去が全くないはずもないと言う事は頭では分かってはいる。自分から好きになったんだから、と宥めて眠らせていた、怜史の心の隅っこで引っ掛かっていた小さな棘が、チクチクと怜史の心を刺し始めた。

『榛名さん、俺の事好き?』
『榛名さん、俺の事どう思ってる?』
『初めてデートした日、俺じゃなくても部屋に呼んでた?』
『俺じゃなくてもセックスしてた?』
『俺じゃなくても付き合ってた?』

「ダメだ、女々しすぎる……つーか俺最低……」

 何度も打ち込んでは消すうち内容はどんどん悪化してしまい、怜史は結局メールを送らないまま携帯をポケットに戻した。

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