ただ、それだけ。（23）（R18)

「あぁ……」

　――穂積。

　野田の設計が好きだと、穂積は言った。完成した駐車場を見上げていた彼の表情。次一緒に組めたら、その時はよろしくと、寂しく笑った。身体を重ねる度、野田を深みへと陥れてゆく激しく、そして狂おしいほどに甘い愛撫。

　――俺は。

「身体はすっかり……男を咥え込むのに慣れましたね」

　しっとりと穂積を押し包む野田を振り切って、穂積が抽送を始めた。

「んっ、ん、ぁっ、……っ」

　考えようとしたその先を、穿たれ串刺されて思考が混濁する。

「野田さんの心は、どこにありますか――」

　穂積が野田の猛りに手を伸ばした。握られ扱かれて、前からの直接的な刺激にあっという間に上り詰める。先端から先刻吐いた残滓混じりの濁った先走りが零れると、穂積は野田の根元を戒めるように握り締めた。

「ぁ、ぁっ、穂、積、イっく……」
「野田さん……っ、俺は……」

　穂積が野田の項に唇を押し当てる。そのままそこを柔らかく吸われ、沸点に達した。

「あ、穂積、も、お、ねがっ、イかせっ……」

　――もう駄目だ。俺の心は、穂積にある。穂積が――好きだ。

「俺は……野田さんの事が……」

　戒めが解かれ、穂積に強く抱き締められた。穂積から続く言葉は、聞こえてはこなかった。

「あ、ぁ、穂積っ、……っく、んっ、ンんっ、あぁっ……！」

――歩。本当に、……ごめん。

　最奥で、穂積がはぜた。同時に野田も、穂積に抱き締められた腕の中、熱を吐き出した。






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