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ただ、それだけ。(27)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 暫く他愛もない会話を交わし、頼んだものが運ばれてきた事でその会話が途切れた。ポークチャップの最初の数切れを口に運び、野田は箸を置いた。

「歩あのな」
「?」

 歩は小さい頃から好物の海老フライを食べながら、野田を見た。歩の口元からサクサクと、小気味良い音が小さく聞こえてくる。


「優子と、別れた」
「……ぇ」
「先週、出てった」

 歩は口に入ったものの咀嚼も忘れて、野田を見たまま動かなくなった。何も声を発しない歩のその目からは、たくさんの疑問が投げ掛けられている。

「一応円満離婚だから。優子は近くに住んでるし、学にも英にも、自由に会える」
「……」
「優子は実は、恋人がいたんだ。ああでもそれが直接の原因じゃなくてな、俺に、……」
「――兄貴に?」
「俺に……」

 歩に本当に言って良いのか、一週間悩んだ。

 まだ穂積には何も言っていないし、穂積からも何も核心を突く言葉を聞いていない。優子と別れたからすぐ穂積へ、という考えはとてもじゃないが軽過ぎると、野田には思えた。それに穂積に想いを打ち明けた所で、穂積からも同じ気持ちが返ってくる保証はどこにもない。実は言いくるめられただけで、穂積に取って野田は、ただ何度か出張を共にし、合意の上で男の欲求を共に昇華させ合うためだけの相手だったのかも知れない。

 それでも、好きになってしまった。自分の作り出すものに、自分を見てくれた穂積を。野田が思い込みだろ、と流した穂積の言葉が本当は、ゆっくりと野田の身体を満たしていた。穂積に満たされてしまった身体は夜毎穂積自身を求め、熱を持って野田の全てを焦がした。

「――好きな人が、できた」
「……」

  歩は変わらず黙って野田をただ見詰めているだけだったが、その目を見るだけで歩が訊きたい事は手に取るように分かった。優子の事は好きではなかったのか、と目で問いかける歩に、野田は一人言葉を続けた。

「優子の事は、好きだと思ってたよ。でも、優子が俺の一番じゃないって事に、優子は気付いてた。だから結婚したんだとも、言ってた」

 喉が乾く。歩は、どう感じるだろう。この遅過ぎる恋情を。





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『野田が思い込みだろ、と流した穂積の言葉』についてはコチラに→『ただ、それだけ(3)』




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コメント
【あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!】拍手コメレス【いークスリですv】
>Iさんv

当初歩は卵料理好き設定にしてたんですが
この店を出すに当たって子供舌寄りな事に決定しますたw
兄弟そろって洋食ダイスキ!ってああああ
すいませんなんか萌えてしまいますたんはーんはーんはー

ああああ!
私も、記述はしなかったんですが
もぐもぐやってる歩のクチからはエビのシッポが
もぐもぐやるたんびに上下にピコピコ動いてる様子が
思い浮かんでたんですー!!!!!
同じ妄想ありがとうございますっ禿ウレシス(´Д⊂ヽ

Iさんの今夜のお夕食はエビフライだったんでしょうか(*´∀`)
あーあーあー私はこの店の唐揚げが食べたいです(じゅる)
(モデルは実在した店ですv)
ちなみに私はエビフライのしっぽはすいません残しますw
なるべく身は全部食べるようにしますが
尻尾の中の身は残ることも……
でも上手に揚がってると骨せんべみたいになってて
食べれるすよね。ちっさい頃は私も食べてますたw
って何のハナシwwwwwwwwww
そーれヒットエンドラーン
ヒットエンドラーン
洋食屋で中華頼むv

タノシスなコメありがとございますたーーーv
2008/07/24(木) 21:48 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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