ただ、それだけ。（32）（R18)

　求めるように、そして与えるように口付けを交わす。野田とこんなに強く、互いを求め合うのは初めてだった。

　一度目は騙して奪うように。野田が穂積の身体を覚えた二度目以降は、野田に乞われるまま、与えるように身体を重ねてきた。

　野田の小振りな頭を鷲掴みにし、野田は穂積の背をかき抱く。重なる唇、舌を絡ませ、熱と唾液を分け合う。身体中が痛みそうな程込み上げる愛しさ。キスは、セックス以上に純粋で、愛し合う者同士の行為なんだと、穂積は実感した。

　深い口付けを交わす湿った音を部屋に響かせながら、下肢を押し付け合う。下着越しに野田の雄に触れると、先走りの雫でその布はしっとりと濡れていた。

　その湿度が、穂積の心を濡らす。

　穂積は、急いた仕種で野田から下着を取り去った。空気に触れた野田の熱が、穂積に触れられる事を待つように、小さく震えた。

「……穂積、もっと、触って……」

　野田が、穂積に熱を押し付けて来る。促さずとも足を開き、その奥に触れて欲しいと、腰を揺らしていやらしく穂積に乞い求める。穂積は野田の先端から零れる蜜を指先で掬い、その濡れた指をその奥へと伸ばした。物欲しそうにヒクヒクと収縮する窄まりに指の腹を置いて、擽るように柔らかく撫でた。

「野田さん……自分でここ、弄ったりしましたか？」
「ぁ……穂積……」

　野田の頬に、羞恥から朱が差す。

「こんないやらしい身体を、野田さんは一人で鎮めてきたんですか？」

　指先に、力を入れた。野田の中、熱い粘膜に直に触れる。指を進めて、すぐに野田の官能の一点をぐ、と押した。

「あっ、穂、積……っ」

　穂積の背に置いた野田の指先に力が籠る。

「野田さんの中、これだけでもうトロトロですね」

　もう一度、そこを押した。野田が、短い喘ぎ声を漏らす。背を反らし、顎を跳ね上げた。次の瞬間野田は、自らの白濁で己の腹を汚した。







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