ヨキツキヨ（２）（R18）

　まだ軟らかい自身をやんわりと握る。木戸以外の肌を知らない身体は、木戸を知って変わった。それまで太一は自分の事を性に淡泊なんだと思っていた。今己に襲う衝動。その行為自体は勿論知っていたが、ないならないで良いもの、という認識でしかなかったのに。

　――好きやで、太一。

「ぁ……」

　頭の中で木戸の声が響く。その瞬間己に触れるそれが、自分の手なのか木戸の手なのか分からなくなる。幹の根元から先端までを指先で辿ると、自身がピク、と震えた。柔らかく握り込んでその手を数度上下させる。ゆっくりと腰が揺れて、体温が上がるのを感じる。それだけで、太一の雄は形を成した。

「ん……、……」

　シーツに落ちる吐息に湿り気が増す。指を伸ばして嚢を持ち上げ、中の芯を揉んでまた手を上下させる。血を集めた自身の先端から、早くも蜜が溢れだした。

「ぁ……」

　背後が疼く。後ろへ片手を回し、乾いた指の腹で入り口を押してみた。自ら濡れる事のないそこに、自分の身体の造りの虚しさのようなものを感じる。動物の生理と真逆の行為。そこに快感があるなんて思いもしなかった。内側から押され、擦られ、抉られれば、太一の身体は昂ぶり、そして絶頂へと。あっという間に上り詰める。そしてそこに触れるのは、木戸であって欲しい。

「ん……」

　指に力を入れてみたが、背後は乾いた指の侵入を拒んだ。その事だけでも、木戸がいつもどれだけのものを込めてそこを濡らし、根気よく解して太一に痛みを与えないよう気遣っているのかが分かる。

「木戸、……」

　焦がれて、胸が痛む。木戸と、抱き合いたい。

　少し迷って、その指を口元へ運んだ。口に含めて、己の指に潤いを乗せる。濡れた指を、再び背後に宛がった。窄まりに潤いを移して襞を伸ばし、そっと、指を挿し入れた。

「っふ……」

　心拍数が上がる。中が蠢いて、指を奥へと誘う。襞を伸ばすように、指先を回した。呼吸する度、背後が指先に柔らかく馴染んでゆく。少しずつ、指を深く埋めた。悦い箇所まであと少し。腰を揺らして指先を導く。

「んン……、……」

　届かないもどかしさに、太一は唇を噛んだ。

　その時、枕元に置いていた携帯が、着信を告げる音楽とともに小さく振動した。








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木戸×太一



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