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Fly Me To The Moon(25)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「――で? 俺はなんで呼び出されたの」

 ナツメが学生の頃から通う馴染みの店。カウンター数席とテーブルが二つあるだけのその店は、その界隈から少し離れた場所にあるのにそうと知られているらしく、ナツメと同じ嗜好の者が集まる。


 薄めに作ってもらったジンリッキーを手の中で弄んでいたナツメの隣に座った河辺が開口一番、ナツメに訊いた。

「あー、ちょっと……ヤんねぇかな、と思って」
「あぁ?」

 河辺が眉を寄せ、不審そうにナツメを覗き込む。たじろぐナツメをそれでも構わずしばらくじっと見て、小さくため息を吐いた河辺はポケットから取り出した煙草に火を点けた。

「ナツメお前、松田とヤったろ」
「え、ええと。……うん」
「付き合うのかよ」
「分かんねぇけど。部屋の鍵は、渡した。でも多分またすぐ嫌んなられるだろうし俺」

 河辺はしばらく考え込むように鼻柱を指先で弾いていた。カウンターに置いた河辺の指先に挟まれた煙草からは、紫煙が真直ぐに伸びる。ナツメはその煙の行き先を目で追った。

「あのなぁ。今までだってお前がそうやってフラフラしてなければ別にフラれる事もなかっただろうによ」
「んなコトねーよ。他のヤツと寝なくても、俺の事ちょっと深く知ったら誰でも大したコトねーとかつまんねーヤツとか思うんだよ」

 フラれる原因がそれだとあまりに辛いから、だから早目に別の理由を作っておく。

 意識してそうしようとしているわけではないが、そんな行動に出る自分を抑えることができない。

 河辺の煙は天井近くまで伸びると、他の客の吐いた煙草の煙と混じって薄い層の一部となった。ごくゆっくりと循環する部屋の空気にかき混ぜられて、煙はゆっくりと渦を巻く。

「とにかく俺は今夜はお前とはヤんねぇよ」
「……、そか」

 河辺に拒絶されたことに僅かな寂しさを覚えた反面、何故かナツメの心は安堵に満たされた。





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コメント
ナツメさぁ~ん
あぁん、もどかしいっすね(クネクネ
信じたいのに信じ切れない弱い心・・・悶えます。
自分でも自分の感情を持て余してるんでしょうね~。
ワンコ、がんがって愛を注ぐのじゃ!!
2009/01/14(水) 00:31 | URL | 柚子季杏 #-[ 編集]
あああああほんとに(;´Д`)
>柚子季てんてぃ

あぁん、ほんとにもどかしいです(私の筆力のなさにw)
ダイジョブでしょかほんとにもー
ナツメのこの悪いクセがどやって形成されたかみたいな
詳しい描写がないのでアレなんですが
恋愛のトラウマというよりこれは性格です(゚∀゚)アヒャ
母とオトコ取り合うようなそんな家庭環境で形成されたみたいな(*´∀`)
ははぁお師匠様和大ワンコにどこまでも耐えて愛を注がせる所存にございやす(*´∀`)
いつものコトですが色々穴ダラケな話ですが
引き続きのお付き合いよろすくおながいしますです(*´∀`)
2009/01/14(水) 19:56 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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