すべては愛のためだろ？（28）

「仕事。行ってくるな」

　ゆっくりと唇を離して、聡士が折っていた身体を上げる。その姿はいつもと変わらない。

「お前……寝たのかよ」

　まだ行為の余韻を残したままの淳汰は、そのギャップに追いつけずにわしゃわしゃ頭をかいた。

「寝てねーよ。お前がやっと抜いて寝コケてすぐ俺はシャワー浴びて着替えて今だよ」

　言葉こそ恨みがましいが、表情は笑って、聡士は淳汰の髪をくしゃりと撫でる。その心地好さに目を細めながらも、あまりにも変わらない聡士の様子にまた、僅かな悔しさのようなものが淳汰の感情に混じる。

「聡士お前……何のダメージもなしかよ」
「何のだよ」
「一晩ガッツリヤったのによ……」
「優しく抱いてくれたんだろ？」

　聡士が流すような視線を淳汰に向け、に、と笑った。

「そうは言ったけどよ……」

　恥じらいや照れがあればそれはそれでこそばゆいだろう。

　いつも通りであること。

　それが一番自分達らしいのかも知れない。

　――だな。

　淳汰も最後には聡士と同じく、に、と笑った。

「好きだよ淳汰」
「ん……」

　その笑みに吸い寄せられたように、聡士がまた、キスを落とす。淳汰は穏やかな気持ちでそのキスを受け止めた。

「そうだお前、……」
「あ？」

　まだ一つ、残っている問題があった事をふと思い出す。淳汰は今度こそ出かけようと身体を離した聡士の背に、言葉を向けた。





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聡士×淳汰




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