「……教授。教授には奥さんがいるじゃないですか。地位も名誉も、お持ちです。……俺には、何もありませんから」
だから何も怖くない。
尚大を守るためなら。
なんだってできる。
――もしもあなたがそのつもりなら。
だから何も怖くない。
尚大を守るためなら。
なんだってできる。
――もしもあなたがそのつもりなら。
位織も相応の手段を取るつもりだった。
その時のために、今日を含めて過去数度、レコーダーとビデオカメラで事の一部始終を記録として残し、証拠も用意しておいた。万一の際はそれを、大学側に提出するつもりでいた。
自分のことはどうでも良い。相手が自分だと知れたとしても。それによって職を離れざるを得なくなってしまっても。
――でも。
できるのなら、それはしたくない。かつては愛した人を陥れるような行為に出ることは、位織にも相当の痛みを伴うだろう。位織の最後の誠意を、分かって欲しい。
――どうか。
小さく唇を噛み、友永を見つめた。友永はしばらくじっと位織を見つめ返し、そしてふ、と小さな吐息とともに哀しく微笑んだ。
「……嘘ですよ。これ以上位織を悲しませることはもう私も、したくありませんからね。これでも本当に位織、あなたのことを愛しているんです」
「教授……」
「愛している」
その言葉に、位織の心が震える。友永の浮かべるこの哀しい笑みは、位織も良く知っている。友永の笑みもまた、叶わぬ想いを内に秘め、けれども人の心は意のままにはならないと、それを知る者が浮かべる笑みだった。
「……位織の心が離れているのを知っていながら、あなたを抱き続けたのは、そうしているうちにまた、位織の心が私の元に戻るかも知れないと思ったからです。でも、私は方法を間違えたんでしょうね。回数を重ねるたび、あなたは遠くなっていった」
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尚大×位織
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前回は思わせぶりなところでぶった斬り、申し訳ありませんですた(;´Д`)
その時のために、今日を含めて過去数度、レコーダーとビデオカメラで事の一部始終を記録として残し、証拠も用意しておいた。万一の際はそれを、大学側に提出するつもりでいた。
自分のことはどうでも良い。相手が自分だと知れたとしても。それによって職を離れざるを得なくなってしまっても。
――でも。
できるのなら、それはしたくない。かつては愛した人を陥れるような行為に出ることは、位織にも相当の痛みを伴うだろう。位織の最後の誠意を、分かって欲しい。
――どうか。
小さく唇を噛み、友永を見つめた。友永はしばらくじっと位織を見つめ返し、そしてふ、と小さな吐息とともに哀しく微笑んだ。
「……嘘ですよ。これ以上位織を悲しませることはもう私も、したくありませんからね。これでも本当に位織、あなたのことを愛しているんです」
「教授……」
「愛している」
その言葉に、位織の心が震える。友永の浮かべるこの哀しい笑みは、位織も良く知っている。友永の笑みもまた、叶わぬ想いを内に秘め、けれども人の心は意のままにはならないと、それを知る者が浮かべる笑みだった。
「……位織の心が離れているのを知っていながら、あなたを抱き続けたのは、そうしているうちにまた、位織の心が私の元に戻るかも知れないと思ったからです。でも、私は方法を間違えたんでしょうね。回数を重ねるたび、あなたは遠くなっていった」
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