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偏愛エレジー(54)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 小さく唇を開く。なのに長年心の奥に押し込んでいた想いは、かたくなに空気に乗せられることを拒み、位織の中から出てこようとしない。

 思えば今まで一度も、尚大を好きだと、誰かに打ち明けたことがない。一人でいる時でさえ、それを言葉にしたことはなかった。

 今急にそれを声にすることなんて、できるはずもない。

 しばらくの沈黙ののち、位織は諦めたように開いた唇を閉じた。

「言ってくんねぇと分かんねぇよ位織さんっ。俺、位織さんは友永とまだ続いてんだと……」

「それは……最初に言ったろ」

 付き合ってた、と。過去形で。確かに言ったはずだ。

「だって位織さん、他にも誰かいるみてぇだったし、それが教授なんじゃないかと……教授は結婚もしてるし、うまく行かない分を俺と寝ることで埋めてんだとばかり……」

 ――やっぱり、そっか……。

 互いに別の誰かを想いながら、叶わない部分を似た境遇の二人が埋め合う。いや、確かにずっと、それでも良いと、納得の上で尚大に抱かれ続けてきた。どうして今突然、それを終わりにしようと思ったのかと聞かれれば、一言では説明できない。

 長年積み重ねた寂しさと、その疲れ。疲れることに、疲れた、と言えば良いのだろうか。

 そしてきっと、抑えきれなくなった告白欲――。

 尚大が好きだ、と。

 それなのに、声にできない。

 その根の深さが、我ながら哀しい、と思う。

「――でも位織さん、違ったんだよね? 教授から聞いたよ。教授とは、俺の卒業と同時に切れてるって。よく考えたらここ数年、位織さんに俺以外の男の気配感じなかったのに俺、気付けなかった……位織さんは俺が誘えば必ず応えてくれてたのに……」

 眉を寄せて尚大が位織を見る。昂ぶった尚大の表情。僅かに悔しそうにも見えるそれは、――後悔?




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尚大×位織

関連:和大×ナツメ 




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ぐるぐるウジウジ。すいません(;´Д`)


コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)まりがとんございます(*´∀`)
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

わーっすいませんほんと爆発寸前のところで
尚大シューンでどっかていうかオウチに帰っていっちゃいますたw
位織んは突然の尚大の訪問に真っ白
尚大も友永からの衝撃の告白に真っ白
真っ白な人二人が話しても
絶対進展とかないすよね(゚∀゚)アヒャ
位織んの愛人体質は多分根っからのモノな気がするんで
尚大はどっかでナツメを気にかけながら
でも心身ともに互いだけのもの、ってカンジでFAかなぁ、とか
思ってます(;´Д`)ハァハァ
それにしても尚大のコドモっぷりに
書いてる人もビクーリな行動にハワワワワ(;´Д`)
和大×ナツメの時からは想像もつかないオコチャマっぷりで
お送りさせていただいとりますスイマセン……orz
昔私の先輩でRX-7に乗ってる人がいたんすね
その彼女(ってのが残念ですがw)がまたハカナゲ、つか
位織のイメージにぴったりクるよな耐え忍ぶタイプでしてw
その人らを思いながら書き始めたワケじゃないんすけど
尚大の車をRX-8に決めてからその人らがチラチラとw
ところでハルカも位織も淳汰もヘアカタで見つけてますエヘ(*´∀`)
よろしければ写メ送るんで見てもらいたいすw

今日もコメまりがとんございますた(*´∀`)

2009/05/22(金) 23:44 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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