偏愛エレジー（74）（R18）

「ぁ、ん、んっ、ぁ……」

　位織の後孔に埋め込んだ指の抜き挿しを繰り返しながら、尚大が僅かに身体を浮かせた。小さく喘ぎ震える位織を、欲望に上気した表情でじっと見下ろした。

「暴走してんのは自分でも分かってる……でも俺、こんな感情初めてで、自分でどうやってコントロールしていいのか分かんねんだよ」
「んっ、いい、いいから、尚大……」

　――もっと、俺を求めて。

　優しく抱いてくれなくても良い。

　尚大の思うままに。

　欲望をぶつけて欲しい。

　欲しいのは自分だけじゃないということの恍惚に、その幸せに目眩する。

　腿に感じる尚大の熱。腿を押し付けてその熱を煽ると、尚大から熱い吐息が零れた。

　再び尚大に唇を求められる。位織からも薄く唇を開いて尚大の舌を受け入れた。舌をそっと絡め、両の手のひらで尚大の頬を包み、髪を撫で、彼を慈しむようにそのうなじを撫でた。

「位織さん、……」
「ん……、……」

　名を呼ばれ、キスに酔いしれて閉じていた目をぼんやりと開けた。

　目の前には尚大の瞳。位織を、まっすぐ見つめる。

「やっぱ何も言わねんだね、位織さん……」
「んっ、な、に……っ、ぁっ」

　背後に挿し込まれていた指が引き抜かれ、尚大に包み込まれるように抱き締められた。位織の肩口に唇を押し当てて、尚大が頬を寄せる。

「――俺もう、ナツメと寝ることねぇから」
「ん、……ん、ん……」

　――そんな事言っていいの、尚大……。

　そんな事、願ってはいけないと思ってきた。

　尚大が自分の元に来てくれさえすれば良いと自らに言い聞かせてきた。自らに吐き続けた嘘を。



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尚大×位織

関連：和大×ナツメ　



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