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Sometime Butterfly(12)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 絶頂を迎える時、いつも網膜に広がる光景。

 それがいつのものだったか、本当にこの目で見たものだったのか。今となってはそれも曖昧なまま、今日もまた、疲弊した身体の内に虚しさで占められた心をひっそりとしまい込む。

 その身体の疲れもまた快楽を愉しんだ証として、七月はいつもとさして変わらない足取りで自室のあるマンションに向けて夜道を歩いていた。

 ――さすがに二人相手に三ラウンドはキツかったかな……。

 それでも七月は苦笑を浮かべるに留め、マンション内に入るといつも通り三階にある自室まで階段を使った。

 階段を登りきり廊下に出ると、自室の前辺りに人影が見えた。

 蛍光灯が灯っていてもなお薄暗いそこに、ぼんやり佇むその影は、けれども七月にはそこにだけ光が差して見える。目を凝らさなくてもそれが誰なのか、七月には分かった。あるいはその人影を見る前から予感めいたものを感じていた。

 ――ああだから、……。

 いつもより少し無茶をしてまでずるずると行為を続けたのか、とようやく納得したように、七月は小さく吐息した。

 七月の近づく気配に顔を上げたその影は、待ちくたびれたことを隠さない表情のまま七月を見た。

 七斗だった。

「遅ぇよ、七月」

 片眉を上げ、僅かに顎を上げて七月を斜(はす)に見る。その視線一つにも、見る者を強く惹き付けてしまう程の垂れ流すような色気が含まれる。チンピラ風情のアロハシャツにデニムという軽装にも関わらず、漂うオーラには伊達に高一からフェロモン兄弟の弟と呼ばれていなかったことを思わせる、男の艶があった。その艶は、七月をして正視できない程に。
 


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お分かりいただけますでしょうか、現在に戻りますた。
冒頭の3p後、家に戻ってきた七月です(;´Д`)



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