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Sometime Butterfly(14)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 中に入り靴を脱ぐと、あとに続いた七斗が七月のうなじに鼻先を寄せ、くん、と匂いを嗅いだ。

「……、……なに」

 触れるか触れないかの距離。思わず息が詰まるのを感じながら、それを悟られないように片眉を上げて振り返った。

「ボディソープの匂い? また男遊びかよ。相変わらずだな」

 七斗の苦笑混じりの笑みが視界に飛び込む。

 七月と変わらない七斗の背丈。

 虚勢だと分かっていたが、薄く笑って七斗を見返した。

「誰にも迷惑は掛けてないよ」

 一つ瞬きすると七斗の足元を見やり、荷物はこれだけ? と問いながら、見るものが見ると感嘆の吐息を零す程の流れるような所作で、七斗のよれた大きな鞄を二つ、持ち上げた。

 広くはないが二部屋ある一つはLDKで、入ってすぐの寝室を越え、目線で七斗を促して一緒にそこへと向かう。

「七斗こそどうしてんの? 前来た時は看護師の彼女に追い出されたとか言ってたよね」

 何が入っているのかは分からないが、結構な重さのあるその鞄を部屋の隅にそっと置き、冷蔵庫へと向かう。

 七斗は部屋に入ると慣れた様子で、七月が苦心して買い求めたイタリア製ハラコ張りのソファに身を預けた。アンティークのそのソファは七月自慢の逸品だが、けれどもそこには今まで七月の他には七斗しか座ったことがない。

「んー、今度は女医」

 何でもないことのようにさらりと笑って返す七斗に、冷蔵庫から取ってきた冷えた缶ビールを手渡してやる。サンキュ、とそれを受け取る七斗を一瞥し、七月は部屋中央のテーブルセットに腰を下ろした。

「それ……その前の看護師と同じ病院に勤めてたり?」 
「んーまあね」
「七斗お前それ、院内泥沼化してるんじゃないの」
「そうでもねぇだろ。どっちも結局俺んこと追い出してんだから」

 小さく肩を竦めてビールのプルを引き、七斗は勢い良くビールを呷った。



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