Sometime Butterfly（24）

「もう少し早く上げてくれたら俺が助かるんだけどね」

「七月のデザインはいつも一発オッケーじゃねぇかよ。ギリまで掛かっても大丈夫だろ？　昨日Ｙ製薬化粧品にも行ってきたんだけどさ、『一番言いたいことは全部です』つって。んなこと言われても困るっつの」

　苦々しい顔を作ってはいるが、七月は彼がそれを楽しんでいることを知っている。

　閑散期でも繁忙期でも、彼のコピーは結局いつも締め切りの直前にしか上がらないためいつも周囲をやきもきさせる。

　その所為で『ヤキ望木』とも揶揄される望木だが、彼のコピーには定評があり、一度望木を使ったクライアントはほぼ必ず、次回再び彼を指名する。

　七月は彼と組んで広告を作ることが多かった。

　七月がデザインした紙面に望木のコピーをはめてゆく格好で一つの広告を作り上げるのだが、明るくどこか人を惹きつけるものを持つ望木の書くコピーは彼自身同様どこか惹きつけられるものがあり、七月も彼の書く文章は好きだった。

　ビールを呷る望木を見つめながら七月もビールを飲んでいたが、彼が缶を空けたらしいのを知ると、七月は持っていた缶をデスクに置いた。

「――で、結局締め切りには間に合うんだろ？」

　流すような視線で望木を見やり、彼の手から空になった缶をそっと取る。

「あぁ？　……早く上げなくていいのかよ」

　七月の視線に色が含まれたのを察した望木が、どこか面白がるような視線で七月に問い掛けた。

「早く上げれるように、眠気覚ましだよ」
「……余計に眠くなりそーなんだけど」

　僅かに苦々しく笑いながらも、望木は席を立った。



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七月本日4人目の相手ｗ（になるかｗ）