Sometime Butterfly（26）（R18)

「今日も感度良好」
「うるさ、っ、ん」

　にやりと笑って七月を見る望木を緩く睨むも、再び同じ場所を弾かれて、また身体が小さく跳ねた。

　自由の利かない身体から下肢に纏うものを取り去られ、望木の身体が重なる。雄同士を擦り合わせ、互いの熱を煽った。

「なあ七月」

　耳元に唇を寄せて、望木が囁くように話し掛ける。その合間に耳朶を吸われ、七月からは甘い吐息が零れた。

「んっ、なに……」
「俺会社辞めて独立しようと思ってんだよね」
「――え、っ、んっ」

　七月に愛撫を施しながら、望木はなんでもないことのようにさらりとそれを打ち明けた。実際なんでもないことだと思っているのか、その言葉に対する七月の反応を見るでもなく、望木の唇は下へと下り、七月の胸元を吸い上げた。継いで舌先で小さく突端を弾き、そしてまた吸い上げる。

「上にも話通してあるし、独立したらご祝儀にクライアントをいくつか分けてくれるって話ももらってる」
「んっ、そ、なんだ、っ、ぁっ」

　望木の手が七月のしなやかな身体の線を確かめるように辿ったと思った矢先、脚を割って背後に指が挿し入れられた。

　先刻の七斗との交わりを色濃く残すそこは、侵入してきた他人の指を、哀しく包み込んだ。

「なんだよ七月、誰かとヤってきたのかよ」

　難なく指を飲み込む柔らかいそこに、それでも望木は大して驚くでもなく、また、気分を害した様子もなく、どこか予想通りの事態だと思っているかのように眉を上げた。

「ん……お前で今晩四人目」
「へー。満足できなかったんだ？」
「ん、違……」

　満足しなかったわけじゃない。むしろ身体の奥底に七斗を感じて、七斗の熱を知り、それをこの身体は歓びとさえ感じた。



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