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Sometime Butterfly(33)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 ゆっくりと煙を吸い込んだ。

 普段煙草を吸わない身体には、たったそれだけでくらくらと、七月から血の気を奪ってゆく。それでもどこかほっと、落ち着いた気分になれた。

 僅かに乱れた髪を手櫛で梳いて、吸い込んだ時と同じようにゆっくりと煙を吐いた。

「――一番されたくない相手に、半レイプみたいにヤられた、んだよね」
「え、……」

 望木が絶句した。大したことじゃないと望木に伝えようと振り返り、笑んでみせた。指に挟んだ煙草を見せて、無言で灰皿を要求すると、望木はようやく仕方ないな、と言うようにふと笑って一旦部屋を出た。

「――『半』って?」

 スチール製の薄っぺらい灰皿を手に戻った望木が、七月にそれを差し出しながら聞いた。七月はそれを受け取って、身体を起こした。

「途中で俺が、諦めたから」

 もういいか、と全てを投げ出した。

 あの時七斗を苛立たせたのは、間違いなく自分だった。

 ずっと抑えてきた七斗への気持ちを、壊されて初めて認めた。

 ――俺はずっと、七斗と愛し合いたかった。

 七斗に半ば犯されるように貫かれて、咄嗟に選んだ選択肢が『諦め』だった自分を嘲笑いたくなる。きっと今までそうやってずっと、諦めてきたのだろう。

 七斗が女と寝ても。

 七斗でない相手と寝る自分も。

 七斗と理解り合うことも、七斗が自分の元から去って行くことも。

 無意識のうち、全てを諦めてきた。

 だから今日の出来事も、諦めてやりすごせる。

 そう思い至るとまた、自嘲的な笑みが零れた。

「そんななのに俺、しっかり感じてたんだよね。……最低だ」

「七月……」

 望木が、心配そうに声をかける。その声には応えずに、ぼんやりと煙草を吸った。


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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!デス!
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

あああんステキな解釈まりがとんございます(´Д⊂ヽ
そうか七月ってこれでいて常識的な人間なんすねw
あんまりうまく兄弟であることの葛藤とか、書けてないなぁと
思いながら書いてるんすけど(ダメ)
その色んな諦めの中にそれを汲み取っていただけたら…とかごにょごにょorz
って頼りない書き手ですいませんほんとに(;´Д`)
わぁ。イトコすかー。イトコはでも結婚できるんすよね
それでも当人たちは悩むしやっぱり周り(親類とか)はあんまイイ顔しないかもすよね
フッツーにリアル兄弟でガチュンしてるゲイビを見たことがあるすけど(サンプルw)
(さり気なく爆弾カムアウトw)
やっぱなかなか現実は厳しいすよね(;´Д`)
あ、ウチも叔父叔母がイトコ同士すw

あ、ご指摘あざした!携帯には名前を辞書登録してるんで
間違えないんすけどこの部分あとでパソで付け足した部分でしたorz
パソにもふたりの名前、辞書登録しときます(´Д⊂ヽ
お恥ずかしいすアセアセほんとありがとうございましたー!

2009/08/04(火) 21:34 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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