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Sometime Butterfly(34)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 けれども心の奥底では分かっている。

 本当はそう簡単には割り切れない。

 諦め切れないからこそ七斗と一緒にいるのが苦しい。

 諦め切れないからこそ誰も愛することができない。

 諦め切れないからこそ。

 ――七斗。

「一番理解って欲しい相手なのに……」

 こんな自分を理解してくれたら、と夢想する。

「ねぇ貴史」

 ぼんやり、煙を吐きながら傍にいる男の名を呼んだ。望木は黙ってベッドの縁に腰を下ろし、同じように煙草をくゆらせ始めた。

「やっぱり俺、オトコなら誰でもいいって、思われても仕方ない、かな」
「……理解できねぇ奴はどこにでもいるよ。特に俺らみたいなのは。基本理解されねぇってのが前提だろ。七月が相手選んでるってのも、ちゃんと守るとこ守ってやってるってのも、七月と寝たら解るよ。でも逆に寝てみないと理解んねぇかもな」
「そか……」

 美しい蝶の幻影さえ見なかったのは。

 七斗に羽をもがれたからなのかも知れない。

 じくり、疼く背の痛み。

「辛い、とか、言っていいのかな……」

 望木の吐いた煙と混じり合って溶けてゆく煙。それを見るともなく見上げて呟いた。

「今言わねぇでいつ言うんだよ」
「……締め切り日当日なのにライターから原稿上がってこない時、とか」
「それ……今じゃねぇかよ」

 望木が喉の奥で笑った。七月も笑って、静かに煙を吐いた。

「今日締め切りのが終わったらまたヤろうぜ。それまでにこの話、考えとけよ」

 望木が煙草を咥えたまま立ち上がった。七月の髪をもう一度くしゃりと撫で、七月に笑いかける。

「お前一人に絞る話は置いておくとして、独立の話は、うん……考えとく」

 望木の視線には視線だけで応え、灰皿に煙草を押し付けた。望木は僅かに苦々しく笑い、けれども何も言わずに部屋を出て行った。

 その背中を見送って、七月は再びベッドに身体を横たえた。



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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!デス(*´∀`)
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

七月は気付いてないのかもすけど
かなりモギには助けられてるはずなんすけどねw
セクースもしちゃうけど七月にはトモダチとしか思われてない悲しさw
カズの方は七月の部屋で呆然としとりますw
んで翌日は用もある(?)んで鍵開けたまま
七月に会わずに去ってきます\(^o^)/
モギのコピーが上がるのを待ってるのは
七月よりも誰よりも印刷会社の人、っつうw
がんがれモギっちw
サンプルイパイのサイト、気になるようなら
メールででもお教えできますよー(*´∀`)

2009/08/05(水) 20:29 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/08/05(水) 22:39 | | #[ 編集]
遅レスほんとに申し訳ございませんウワーッ(土下座ーーーっ)
>↑秘密コメkさんーっ!

すいませんコメいただいていたのに
fc2メール通知不具合(と思われます)で通知されず
気付けずにいましたほんとすいませんーっああああああ土下座アアアアッ!

あいーモギとのエロい雰囲気はこれでおしまいすw
あとは多分七月が落ち着く方向へ…なんとか持っていきたいとああああああ
仕事上では二人の関係まだまだ続きます(*´∀`)

ほんとにちゃんとふたりくっつけられるか
いまだに心配でなりませんorz
どうかうまくまとまりますよう
Kさんも一緒に…祈ってやってくだたい(;´Д`)

あ、投票もありがとうございマス!
書く量を少し増やすだけなのに日ごろのまたーりがたたって
なかなか大変でございましてアセアセ
がんがりたいと思います!

コメあざした!
そしてお返事遅くなりほんとに申し訳ございませんでしたーー(;´Д`)
2009/08/07(金) 07:32 | URL | ベラ #-[ 編集]
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