Sometime Butterfly（49）

「そう、なんだ。やっぱ素人には見分けって、付かないものだね」

　罠に掛かった焦りを察知されないように。七月はおどけたように小さく首を竦めてみせた。

「オス同士の方が良かった？」
「そういうわけでは……」
「あの二匹が俺たちなら、って？　俺がそれを『願い』としてあの写真に託したのかも、って？」
「七斗、……」

　図星を突かれて、答えに窮する。追い詰められ、動くことさえできなくなる。

「――その通りだよ」

　七斗が投げるように言葉を吐いて、小さく鼻で笑った。

「……え」
「七月、お前があそこに来るかどうか俺、賭けてたんだ」

　ソファからゆっくりと立ち上がり、七斗が近づいて来る。

「お前が来れば、俺の『願い』は叶うって。少なくとも、俺の『願い』は七月に伝わるって」

　七月の傍らに立ち、七斗はテーブルに缶を置いた。

　本当に、本当なのだろうか。

　言われてもまだ、にわかに信じがたい。

　そうであったなら、と強く願ったのに、その想いが強すぎた分、同じだけの諦めを自らに課していた。

　金縛りにあったように身動きできないまま、七月は戦慄くように七斗を見上げた。

「七月……背中、痛い？」

　けれども七斗の口から発されたのは、七月が思ってもみなかった言葉だった。

　じくり。

　また背が疼く。

　己の背にまだ羽が残っているのなら、自らもぎ取ってでも七斗と結ばれたいと願う。



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順番的にあゆしんの回ですが
もうちょっとなんでこちらを突っ走ろうと思いますｗ
完結までの合間にもしあゆしん書ければ正午うぷる当初のスタンスでがんがります(*´∀｀)