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福音、ふたりが幸せであるために(8)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「――ごめん慎治さん」
「ん?」
「慎治さんも、ハダカ」

 着せらんなくて、とまた少し申し訳なさそうにしゅんとなりながらも、さり気に慎治に掛けられたバスタオルをめくってその中を覗く歩に、慎治はまた笑った。

「浴衣はまだ露天の脇?」

 幾分顔色を取り戻した慎治が、身体を起こしながら歩に聞いた。

「うん」

 起き上がった慎治にようやくほっとする。歩は目元を緩め、慎治の耳朶に一度だけそっと、口付けた。すると慎治はいつものように、少し擽ったそうに肩を竦めた。

「ん……、じゃあ悪いけど取ってきてくれよ。それ着るから。歩は……もう部屋着のがいいならそっち着てもいいし、とりあえず何か着ろ」
「……うん」

 慎治に言われるまま裸のまま立ち上がったが、ほんのひと時の離別を惜しむように慎治の肩に乗せた手を最後まで残し、そこを優しく撫でてから庭に出た。先刻脱いだ浴衣を携えて戻り、慎治にはそれを渡し、自分の分は慎治の横に丸めて置いた。早速座ったまま衣服を着始める慎治を見ながら、歩はバッグから衣服を出してそれを着込む。

 Tシャツとデニムという着数にして下着込みで3点という軽装にもかかわらず、着終わって慎治の傍らに戻った時には、慎治は自分の浴衣を着終えていただけでなく、歩の浴衣を畳み終えていた。

 見慣れない者が見ると目を見張るようなその手際だが、それはいつもの慎治と何ら変わるところはない。現に歩は特に驚いた様子もなくありがと、と軽い調子で礼を言った。

「慎治さん、もう少し横になってる、よね?」

 歩が再び慎治の枕元に座り、慎治の体調を気遣うように顔を覗き込んで問いかけた。慎治は枕元に置いていたクロノグラフを手に取った。

「――今四時、か。飯まであと二時間あるけど、そだな、寝とくか」

 お前も来いよ、と隣にスペースを作った慎治がそこを叩いて歩を誘う。歩はうん、と頷いて慎治の隣に入った。いつもそうするように背後から慎治を抱きしめると、慎治もいつものように歩の腕を優しく撫でた。その手のひらの優しさに心と表情を緩め、歩は甘えるように慎治のうなじに鼻先を埋めた。

「愛してる慎治さん……」

 そっと囁いて、そしてゆったりと、目を閉じた。


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歩×慎治

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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!でし(*´∀`)
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

もともとあゆにぃが甘やかしてきたもんで
そんな歩をさらに慎治が甘やかすもので
歩はほんとなにもできませんでし(*´∀`)
それが歩の仕事(?)でもあるんで
もーどーしようもないす\(^o^)/オワタ
ええもこのあとの食事とともに、
夜のための準備をガッツリとw
のつもりのお昼寝タイムと相成りまんた(*´∀`)
35×45ですがオトナな雰囲気だせてますですかアッ――!
蝶の二人は27歳すけどなんか初々しいすもんねw
100人斬り(?)の七月とは思えない初々しさw
と感じていただけてるならウレシスでし(*´∀`)

こちらかなりまたーりになると思いますが
引き続きのお付き合いよろすくでし(*´∀`)
2009/08/29(土) 02:01 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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