2ntブログ

Sometime Butterfly(52)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 手の甲から七月の手を包み込む、七斗の手のひらの熱。冷たかった七斗の手のひらが、七月に触れて少しずつ温かさを取り戻してゆくのが分かる。

 今リアルに、七斗と熱を分け合っていると実感する。身体の芯から蕩けてしまいそうな程に、恍惚とする。

 ――もう何も要らない。

 こんなに近くで七斗の存在を感じながら空気を共有し、七斗に触れることが許され、そしてこの手で七斗の温かさを知ることができた。

 ――もう何も。

 七斗をじっと見つめる。

 七月を見つめ返す七斗の目元がふと細められた。

「俺はこんだけじゃ、足りねぇよ」

 七月のささやかな満足を見透かしたように、七斗が笑った。

「え、……ぁ」

 不意に、重ねていた手が握られ、引き寄せられた。身構える間もなく抱きしめられ、七斗の手が、七月の背を撫でた。

 忘れかけていた背の疼きを思い出させるように甘く、優しく。七斗の手が、七月の背に刻まれた傷痕に触れる。

 その手から全身に、波紋が広がる。もうそれ以上何も求めるものなどないと思っていた七月の身体の中で、新たな感情が波打ち始めるのを感じた。

 それは、性の衝動。

 淫らで、なのに七月にとっては何より神聖なものに感じる。

 もっと七斗と深く重なり合いたい。

 七斗と身体の奥で結ばれたい。

 ふたりがより密接して触れ合うことで芽生えた欲望が、七月の心を震わせながら、支配してゆく。

「七斗ごめん……」

 そっと、七斗の胸元に手を置いて、二人の間に僅かな距離を作った。再び重なる視線。震える唇から、言葉を紡ぐ。

「愛してる……」
「ん……多分俺、知ってた」

 少し泣きそうにも見える表情で七斗が微笑んだ。

 胸元に置いた手が、肩から背へと滑る。

 どちらからともなく、唇を重ねた。



←51へ / →53へ
←1から読む 


ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ランキング参加中す。よければクリック入魂一押ししてください。
 書く意欲に繋がってます(*´∀`)
携帯からはポイント反映されないことがあるようです(090825現在)
ぜひパソからの一押しお待ちしてます(*´∀`)




コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/08/27(木) 21:51 | | #[ 編集]
コメあ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!でし(*´∀`)
>秘密コメ↑Kさん(*´∀`)

いつも起こしまりがとんございますーっ!
ほんとに今までの経験は全く意味がないすね七月w
いやでも今までの相手にはそんな言葉言った事は
もちろんありませんです(*´∀`)
いきなし深くから入って好きから始まらない恋愛すエヘ

合間にちょっとずつしか書けずに
間をおいてのあゆしんになりましたが
なかなか推敲もできてなくて
読み返してウヘァ(;´Д`)ってなってしまいまんたorz
そのたび直せるところは直しましたが
ちょっとはマシな流れになりましたでしょかあああんorz

あいー(*´∀`)
お昼寝して、おっきして晩御飯食べて、
そして…アッ――!でし(*´∀`)
がんがります!

****************************************************

>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

七月のこの無欲な感じはあんまりこういうとアレなんすけど
七月はやっぱ凸凹でいうと凹なんすね
どこまでも受け入れるけど
激しく求めるのはやっぱ凸の方(七斗)なのかなぁとか
書いてて思ったりしてしまいまんた
奇跡のような通じ合いだけど運命だった、みたいなw
そして二人ともどっかでそれを知ってた、みたいなw

あいやハマグリはロマンですよ!!!
いろんな意味でやらしさもあるしゲヘゲヘ
イソのあわびはいつかハマグリになりたいと夢を見るんす(;゚∀゚)=3ハァハァ

振り続けた相手を●年にしてスキになる、
そんな心境ってどんなもんなのか、
ガッツリ聞いて今後(の話作りw)に生かしたいと思うすw


2009/08/28(金) 07:39 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ