ぐったりと脱力した慎治を支えるように抱き締め、歩は自分の頭から血の気が引いて行くのを感じた。
どうしよう、と呟いて視線を彷徨わせる。その視線が行き着いた先、部屋を一瞥して歩は慎治を抱き抱えた。
「とりあえず、横に……」
立ち上がり、湯から出た。慎治を抱えたまま裸足で飛び石を渡り、湯が滴るのも忘れて室内に戻った。
どうしよう、と呟いて視線を彷徨わせる。その視線が行き着いた先、部屋を一瞥して歩は慎治を抱き抱えた。
「とりあえず、横に……」
立ち上がり、湯から出た。慎治を抱えたまま裸足で飛び石を渡り、湯が滴るのも忘れて室内に戻った。
畳の上に慎治の身体をそっと横たえ、すぐ目に入った旅館のバスタオルをその身体に掛けた。
「のぼせたって、言った、よね……」
冷やせば良いのだろうか、と思い至って、バスタオルと一緒に置かれていたタオルを手に洗面所へ飛び込み、それを濡らして慎治の元へと駆け戻った。熱のある病人の看病を思い描きながら慎治の額にそのタオルを乗せようとすると、濡らしただけで絞り忘れていたタオルからは水が滴っていた。慌てて窓から手を出しそこでタオルを絞り、そしてようやく慎治の額に絞ったタオルを乗せた。
「えっとあとは……」
何をすればいいのか、動揺で混乱する思考の中、慎治を見下ろして考える。
「あ、布団……」
横たわる慎治の姿に覚えた違和感は、畳に直に寝ているところだったのか、と立ち上がり、ふすまを開けて押し入れから敷布団を取り出した。慎治の脇にそれを敷き、慎治を抱え上げようと手を伸ばしたその時、僅かに目を眇めて慎治がゆっくりと目を開けた。
「ん……、歩……?」
「慎治さん……大丈夫?」
「ん、悪ぃ……」
心配そうに覗き込む歩に慎治は少し気だるく笑って、額に置かれていたタオルに手を当てた。
「このタオル、歩が置いたのか?」
「うん。のぼせた時、どうしたらいいのか、分かんなかったから……」
慎治の枕元に正座して、歩はしゅんとうなだれた。思いつく限りのことをやっても慎治が目を開けなければ、フロントに電話して医者を呼んでもらうつもりだった。
慎治が少し疲れていそうなのは、このところの生活からも、ここにくるまでの電車内でも感じていたことだ。なのにそれを忘れて己の快楽を優先し、慎治に無理をさせてしまった自分が情けなくて、歩は顔を上げることができずにいた。
「歩」
正座の膝に載せていた歩の手を、慎治がそっと握った。
「ありがと」
「慎治さん……」
「もう少しだけ横んなってたら、すぐ良くなるから」
「ん……ごめんね」
「ダイジョブだよ。歩は何も悪くねぇって」
慎治は取った歩の手を口元へ引き寄せ、その指先にそっと口付けた。その唇の優しさに、歩の指先は切なく震える。
「――なあ歩、お前気づいてねぇだろ」
歩の指先に唇を押し当てたまま慎治が話しかけた。
「……え、何?」
「お前、裸のまんまだぞ」
「――あ、ほんとだ」
下半身を見下ろして初めて気づいた歩が、それでも慌てることもなくいつもの口調で答えると、慎治は酷く幸せそうに笑った。
←6へ / →8へ
←1から読む
歩×慎治
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書く意欲に繋がってます(*´∀`)
蝶の方、続きを待ってくださってる方がたくさんいてくださるようなんですが
すいません今夜はこちらで。
その分いつもよりたくさんうぷってみますたーっ(当社比にて通常の1.8倍のボリュームでしw)
どうかヒトツこれからもお付き合いよろすくおながいします。
「のぼせたって、言った、よね……」
冷やせば良いのだろうか、と思い至って、バスタオルと一緒に置かれていたタオルを手に洗面所へ飛び込み、それを濡らして慎治の元へと駆け戻った。熱のある病人の看病を思い描きながら慎治の額にそのタオルを乗せようとすると、濡らしただけで絞り忘れていたタオルからは水が滴っていた。慌てて窓から手を出しそこでタオルを絞り、そしてようやく慎治の額に絞ったタオルを乗せた。
「えっとあとは……」
何をすればいいのか、動揺で混乱する思考の中、慎治を見下ろして考える。
「あ、布団……」
横たわる慎治の姿に覚えた違和感は、畳に直に寝ているところだったのか、と立ち上がり、ふすまを開けて押し入れから敷布団を取り出した。慎治の脇にそれを敷き、慎治を抱え上げようと手を伸ばしたその時、僅かに目を眇めて慎治がゆっくりと目を開けた。
「ん……、歩……?」
「慎治さん……大丈夫?」
「ん、悪ぃ……」
心配そうに覗き込む歩に慎治は少し気だるく笑って、額に置かれていたタオルに手を当てた。
「このタオル、歩が置いたのか?」
「うん。のぼせた時、どうしたらいいのか、分かんなかったから……」
慎治の枕元に正座して、歩はしゅんとうなだれた。思いつく限りのことをやっても慎治が目を開けなければ、フロントに電話して医者を呼んでもらうつもりだった。
慎治が少し疲れていそうなのは、このところの生活からも、ここにくるまでの電車内でも感じていたことだ。なのにそれを忘れて己の快楽を優先し、慎治に無理をさせてしまった自分が情けなくて、歩は顔を上げることができずにいた。
「歩」
正座の膝に載せていた歩の手を、慎治がそっと握った。
「ありがと」
「慎治さん……」
「もう少しだけ横んなってたら、すぐ良くなるから」
「ん……ごめんね」
「ダイジョブだよ。歩は何も悪くねぇって」
慎治は取った歩の手を口元へ引き寄せ、その指先にそっと口付けた。その唇の優しさに、歩の指先は切なく震える。
「――なあ歩、お前気づいてねぇだろ」
歩の指先に唇を押し当てたまま慎治が話しかけた。
「……え、何?」
「お前、裸のまんまだぞ」
「――あ、ほんとだ」
下半身を見下ろして初めて気づいた歩が、それでも慌てることもなくいつもの口調で答えると、慎治は酷く幸せそうに笑った。
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書く意欲に繋がってます(*´∀`)
蝶の方、続きを待ってくださってる方がたくさんいてくださるようなんですが
すいません今夜はこちらで。
その分いつもよりたくさんうぷってみますたーっ(当社比にて通常の1.8倍のボリュームでしw)
どうかヒトツこれからもお付き合いよろすくおながいします。
コメント
蝶も気になりますが(いいとこですし)
あゆしん超嬉しいです!!(蝶と掛けてみましたw)
慎たん…あぁ、慎たんww
狼狽えるあゆあゆの可愛い事といったらもう!!!!!
べらてんてぇ、どんだけ柚子季を悶えさせるおつもりで?
だってこの後、お祭りですよね?キャッ(/∀\*))★
何なら半年くらい続けて下さい(え
あゆしん超嬉しいです!!(蝶と掛けてみましたw)
慎たん…あぁ、慎たんww
狼狽えるあゆあゆの可愛い事といったらもう!!!!!
べらてんてぇ、どんだけ柚子季を悶えさせるおつもりで?
だってこの後、お祭りですよね?キャッ(/∀\*))★
何なら半年くらい続けて下さい(え
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2009/08/20(木) 09:24 | | #[ 編集]
>柚子季てんてぃ(*´∀`)
あゆしんご支持あざすっ(´Д⊂ヽ
のぼせてしまったりなんかして、
慎治がちょとカッチョワルイすねw
このあとがんがってちょっと挽回させますんでw(つもりすw)
慎治をなんとか看病(?)しようと
必至な歩、カワユスありますでしょかw
何もできない人@35歳
ダイジョブでしょかーっ!
オマツリは一応…晩御飯食べてからにしようかなぁとか
思ってますが老舗旅館の膳の描写が面倒~とか
思ってるグータラ管理人のケツをガッツリ
蹴り飛ばしてやってくださアッ――!いハァハァ
コメあざした!ほんとに!(´Д⊂ヽ
******************************************************************
>秘密コメ↑Aさん(*´∀`)
あゆしんご支援コメまりがとんございますーっ(´Д⊂ヽ
慎治がのぼせた、って言ったにもかかわらず
実は歩は慎治がこのまま目を開けないかもとか
死んじゃうんじゃないだろか、とか
血の気サーッってなって慌てまくってましたが
見てる側からしたら(・∀・)<ンナワケネェヨニヤニヤ
ってカンジだったすね\(^o^)/
汚れなき姿に憧憬!なんて素敵な言葉(*´∀`)
慎治は過去は色々あったみたいすけど(設定w)
これほど純粋に信じあって想いあってるカプはない、
と想いながらいつも書いてますです(*´∀`)
こちらはぼちぼち更新になるかと思いますが
ほんとにぜひ!引き続きよろしくおながいいたしますーっ(平伏)
******************************************************************
>秘密拍手コメiさん(*´∀`)
わーいコメまりがとんございますー(*´∀`)
七月たちに比べあゆしんの不人気に折れそうになりつつ
頂いたコメでほんとに助けてもらってます(´Д⊂ヽ
そーなんすね歩がいつまでたっても何もできない人なのは
慎治がアレコレ全部やってしまうからで
やらせてみれば旅行の手配だってできるしw
倒れてみれば看病(?)だって…
オロオロしつつドッタバッタでなんとか
ここまで漕ぎ着けた感じ、でやれました(?)w
そして気付いてくださりあざすw歩またマッパですw
そんなだから慎治はいつまでも
歩の世話を焼きたくなってしまうんすね
てかそれが慎治のシャーワセでもあるわけですが(設定w)
こんなカンジにほんわかとエンドレスに惚れ直しながら
エロに(w)持ち込みたいと思います~(*´∀`)
引き続きのお付き合いよろすくおながいします(*´∀`)
あゆしんご支持あざすっ(´Д⊂ヽ
のぼせてしまったりなんかして、
慎治がちょとカッチョワルイすねw
このあとがんがってちょっと挽回させますんでw(つもりすw)
慎治をなんとか看病(?)しようと
必至な歩、カワユスありますでしょかw
何もできない人@35歳
ダイジョブでしょかーっ!
オマツリは一応…晩御飯食べてからにしようかなぁとか
思ってますが老舗旅館の膳の描写が面倒~とか
思ってるグータラ管理人のケツをガッツリ
蹴り飛ばしてやってくださアッ――!いハァハァ
コメあざした!ほんとに!(´Д⊂ヽ
******************************************************************
>秘密コメ↑Aさん(*´∀`)
あゆしんご支援コメまりがとんございますーっ(´Д⊂ヽ
慎治がのぼせた、って言ったにもかかわらず
実は歩は慎治がこのまま目を開けないかもとか
死んじゃうんじゃないだろか、とか
血の気サーッってなって慌てまくってましたが
見てる側からしたら(・∀・)<ンナワケネェヨニヤニヤ
ってカンジだったすね\(^o^)/
汚れなき姿に憧憬!なんて素敵な言葉(*´∀`)
慎治は過去は色々あったみたいすけど(設定w)
これほど純粋に信じあって想いあってるカプはない、
と想いながらいつも書いてますです(*´∀`)
こちらはぼちぼち更新になるかと思いますが
ほんとにぜひ!引き続きよろしくおながいいたしますーっ(平伏)
******************************************************************
>秘密拍手コメiさん(*´∀`)
わーいコメまりがとんございますー(*´∀`)
七月たちに比べあゆしんの不人気に折れそうになりつつ
頂いたコメでほんとに助けてもらってます(´Д⊂ヽ
そーなんすね歩がいつまでたっても何もできない人なのは
慎治がアレコレ全部やってしまうからで
やらせてみれば旅行の手配だってできるしw
倒れてみれば看病(?)だって…
オロオロしつつドッタバッタでなんとか
ここまで漕ぎ着けた感じ、でやれました(?)w
そして気付いてくださりあざすw歩またマッパですw
そんなだから慎治はいつまでも
歩の世話を焼きたくなってしまうんすね
てかそれが慎治のシャーワセでもあるわけですが(設定w)
こんなカンジにほんわかとエンドレスに惚れ直しながら
エロに(w)持ち込みたいと思います~(*´∀`)
引き続きのお付き合いよろすくおながいします(*´∀`)