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Sometime Butterfly(46)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「――えっと俺、帰るね。七斗が今ここにいるってことは部屋、鍵空いてるんだろ?」
「……、七月」
「お前もほら、事務所、戻んないと」

 七月を追い詰めるような沈黙に耐えきれず、七月はその場から逃げるように視線を出口へと向けた。

 逃げるのか、とさらに七月を問いただすような七斗の声には気付かない振りをして、ああそうだ、とポケットを探った。

「俺のところならまたいつでも来てくれて構わないから」

 はいこれ、と今日の仕事途中、昼食の調達に出た際作っておいた部屋の合い鍵を七斗に差し出した。

 けれども七斗はそれを受け取ろうとせず、ただ黙ってじっと、七月の手のひらを見下ろした。

「……要らない、っか」

 七月が七斗からのメッセージだと感じたことは、やはり自意識過剰だったのか。

 けれどもそれは落胆と言うより、むしろどこか予期していた至極当然なことのようだとさえ感じる。それは長年無意識に七斗に関する気持ちの全てを諦めてきた結果なのかも知れない。

 七月は自嘲するように笑って、その鍵を再びポケットに戻そうとした。

 その手首を、引き止めるように伸ばされた七斗の手に掴まれ、七月は身体を強ばらせた。

 手首に感じる、七斗の手のひらは冷たい。

 七月の心をじんと冷やすのに、心臓は、七月の意思とは関係なく跳ねるように脈打った。

「いつでも行っていいんなら」
「え?」
「今から行っていい?」
「……、……ん」

 うるさい程に身体中に強く響くこの脈動は、きっと手首から七斗に伝わっている。

 けれども為すすべもなく、七月は小さく頷いた。



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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

あいー思いっきし無用心ですw
でもドロボウってどうなんすかね、
一軒一軒鍵が開いてるか調べて回ってる
ワケでもないだろうし
狙われなければやっぱり盗られないじゃないすかねw
とかノーテンキに防犯について甘く考えてみる\(^o^)/
いや私もたまにやってしまうんすw
玄関の鍵はかけたけど、窓開けっ放し\(^o^)/オワタとかw
ほんとに防犯を甘く見ちゃいけないすよねorz
とかあまりこゆ公の場で言わない方がイイかもすねわーわーわーわー
(誤魔化してみる)
いやコレを気に戸締り注意を強化させたいと思うす!

そすよね、そういやこんだけ回を重ねておきながら
七斗の笑顔の描写をしてないかもしれないすアワワワ
二人で心から笑い合える日は…くるのかなぁ
禁忌を侵して結ばれたそのあとって
やっぱりただただシアワセに浸ることもできないような
気もしなくもないんすけどアセアセ
あんまり深く考えすぎずに
当初の予定通りにシャーワセな結末に
まったり進めてく予定す(;´Д`)

こちらに福音(7)とレス纏めさせていただきますです(*´∀`)
コメ控え、お気遣いあざす!
いやほんとお気持ちウレシスでし(´Д⊂ヽ
いやちょっと七月たちに予想以上の反響をいただいてまして
相対的に見てあゆしんになるとアレなもんで
ちょっと贅沢言ってしまいまんたほんとすいませんorz
あゆしんもまたーりと描きたいと思いますんで
引き続きどぞよろすくおながいしますーっ(´Д⊂ヽ



2009/08/22(土) 12:56 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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