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Sometime Butterfly(45)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 着ているシャツの柄が異なる以外、昨日とほとんど変わるところのない軽装に身を包んだ七斗は、ここまで走って来たのだろうか、息を切らせて肩で呼吸をしている。ただ、目は大きく開かれ、七月をじっと見据えていた。

「七斗……どうしてここに」

 わななく唇。七月も立ち竦み、動揺で荒くなる呼吸に肩が大きく上下する。

「先生の事務所にいたんだけど、芳名帳に七月の名前を書いた人が来たらすぐ知らせてくれって、受付やってくれる人に頼んでたから」
「そっか……」

 不自然な距離を保ったまま二人見つめ合う。そのまま会話が途絶えた。

「――ああえと、今日の新聞記事見てこれ知ったんだ。お前がこんな立派に仕事やってるなんて」

 知らなかったよ、と会話のない空白を埋めるようにぎくしゃくと、七月が声をかけた。

「全然金にはなってねぇよ。知ってるだろ? 携帯代も払えてねぇの」

 僅かに苦笑して、七斗が肩を竦めた。そしてまた、七斗は七月を真っ直ぐに見据え、二人の間に沈黙が訪れる。

 「これらの写真を見たのなら、言いたいことは分かっただろう」とでも言いたいのか、七月に答えを求めるような七斗の視線に射抜かれて、七月の背がまた、痛みとも快感ともつかない鈍い重みにじくりと疼いた。

「ガキの頃のこと、七斗も覚えてたんだ」
「……忘れたこと、ねぇよ」

「昆虫写真家の川野昭夫つったら有名な人だよね、俺でも知ってる。助手、やってたり?」
「ん、まだまだ駆け出しだけど」

 どうしても核心を突くような話を切り出せずに、新聞記事で知った当たり障りのないことばかりが口をついて出た。

 七月の持ちかけた白々しい会話は七斗の短い返事ですぐに打ち切られ、そのたび耐え難い空白が七月を責めるように訪れた。


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コメント
秘密拍手コメレスでしー(*´∀`)
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

すいませんーっwもどかしいついで(すいませorz)に
今夜更新分はあゆしんにあーほんと私ももどかしいす(;´Д`)
そんなもどかしさも♂×♂だと楽しんでいただけてるようで
ヨカタです~(*´Д`)
いやほんとなんでしょうこの七月の純情っぷりw
前日ヤっちゃってるんすよねこの二人w
背中が痛いばっかで * はどうなんすかねw

口内炎はあんまり痛いんで病院イってきますたw
抗生物質と塗り薬とイソジンもろてきますた。
そしたらやっぱりいつもよりは治りが早いカンジす。
口内炎10個て!もうダイジョブな場所ないやないですか!
私も今4箇所あるんすけど
なんですかね夏の疲れが出てるんすかね
熱が出なかっただけまだヨシとして
あとしばらくこの痛みもタノシミたいと思いますw
あ、ピーマンスキスキス~(*´∀`)
てか野菜全般スキなんでピーマンも食べます!
情報あざした!



2009/08/19(水) 23:56 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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