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Sometime Butterfly(59)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 誰? と問うと、七斗はさぁ、と小さく首を傾げる。七月は差し出されたそれを戸惑いながらも受け取り、電話を耳にあてがった。

「――はい」
『あ、七月?』

 何事にも物怖じせず、けれども人に決して高飛車な印象を抱かせることはない、はっきりとした声。聞き慣れたその声の主は、望木だった。

「あぁなんだ、望木」
『なんだはねぇだろ七月、丸一日連絡もなく職場に顔出さねぇで何やってんだよ、色校上がってきてっぞ』
「丸一日?」
『あぁ? お前何言ってんだよ記憶喪失?』

 言われてベッドサイドの時計を見る。

 向こうが透けて見えるデジタル時計の数字は午前十一時を示していた。

 色校が上がって来るには早くて二日を要する。

 ――ってことは、……。

「俺、おとといの夜からずっと……」

 ――七斗とヤりまくってたんだ……。

 その間摂ったものといえば水分だけだった。少しまどろんで、覚めるとまた。二人でシャワーを浴び、そしてまた。今までの分を取り戻すかのように、時を忘れて互いを求め合い、確かめ合い、交じり合った。

 満たされ充足することで生じた僅かな痛みは七月を恍惚へと導く。身体に色濃く残る七斗の名残は愛の証。

『――さっきのは、弟?』

 電話中だったことを忘れて余韻に浸り、黙ってしまった七月の意識を戻すように、望木の声が割って入った。

「え?」
『今の。お前の電話に出たオトコ』
「うん、弟」
『声、そっくりだな』
「そう? 顔は似てないよ」
『似てたら似てたでまたそれも倒錯的だけど……そっか、マジで弟か。お前らしいっちゃらしい、な』

 これだけの会話で全てを悟ったのか、電話の向こうで望木が鼻で笑う声と、ごく小さなため息が聞こえた。


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コメント
倒錯的…!!
 電話で声そっくり…!!
 ……何か妙なプレイを想像したのは、私だけ…?

 あー、こんなに感動的な後に、私は一体何を想像してるの…orz
2009/09/03(木) 08:36 | URL | 如月久美子 #-[ 編集]
ななななな何のっ!気になるすーっ!
>如月さん(*´∀`)

いや電話だと兄弟とか親子とか、
本人だと思ってベラベラ喋り出したら「あ、代わりますね」
みたいな応対されることがよくあるものでしてw
見た目が違ってても
やっぱ骨格とか(?)声帯とか(?)が似てたりするのかなぁ、
と思ってのこの流れだたんすけど
妙なプレイ!!
どんな? どんなどんなどんなすか! きーにーなーるーw
一卵性だと自分とヤってるみたい=ナルシスト的なカンジになるかな、
とか思って二卵性男性的×中性的なふたりでし(*´∀`)
あーほんとに、妙なプレイの内容がものっそ気になりまん(;゚∀゚)=3ハァハァ
おしえてくだたい(;゚∀゚)=3ハァハァ

2009/09/04(金) 00:15 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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