2ntブログ

誰もがきっと、誰かの。(6)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「それでは本日もよろしくお願いします」
「はぁい、ご苦労様です」

 生(いくる)は今日も丁寧な一礼と挨拶とともに、スポーツジムをあとにした。

 外は雨。

 風もなく、まっすぐに降る梅雨の細かな雨粒はしとしとと、静かに地面に落ちる。

 傘を差し、営業車に向かう生の濡れた足音が、生の心を濡らす。
 
 濡れた靴先をじっと見つめた。

 失った恋の痛みは、すぐに癒えることはないかもしれないが。

 ――今はただ、自分にできるだけのことをしよう。

 仕事があることに、少しの感謝をしながら。

 顔を上げると生は傘を閉じ、車に乗り込んだ。








 一箇所綻びを見せると、悪いことというのはそこをめがけて雪崩のように押し寄せる。まるで全ての事態を悪い方へと押し流そうとするかのように。

「吉森」

 オフィスに戻ると、課長の山中が難しい顔で生を呼びつけた。

「はい」
「お前、毎日この時間社内にいないけど、何してる?」
「……、営業活動、です」
「さっきラクトのスポーツジムから吉森宛てに電話があったんだよ。貸与してるウェアの枚数を増やせないかってな。どういうことだ」

 山中は年齢で言えば生より二つ年上なだけだ。生と大差ない年齢の山中の、けれども十年来籍を置いた営業畑で培われた、威圧するような目が生を詰問する。

 誤魔化すための言葉は、用意していなかった。

「――大八木店のお客さんに、ウェアを使ってみてもらってるんです。購買に営業をかけただけでは実際の購入には繋がらないと思いまして」

 営業として、売り上げを伸ばしたいと考えて行動したそれは、後ろめたいことはないつもりだ。生は正直に説明した。



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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!デス!
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

やり手の課長も実はちょっと生狙いだった、
とかあるいは家に帰ったらデレデレな伴侶(♂)
がいる、とかだとイイナァ……(*´Д`)
とか思いつつ、課長はここで終了すw
そうなんす、生も営業始めたばっかで
何をやったってダメだと思われそうと
思ったから自分の判断のみでやった、みたいな
体でお送りさせていただいとりますw
いつも汲み取っていただきほんと感謝でし(´Д⊂ヽ
企業戦士の皆さん、もっと♂同士でくっついてくだたい!

ジタバタしない、ってのは私はイイと思うす
一度切り出された別れはジタバタするときっと
余計に事態は悪いほうへと行くよな気がするす
物足りないと思わせたほうが勝ち、みたいなことを
資料にと読んだ恋愛手ほどき本に書いてありまんた\(^o^)/
わりと消極的だと自分でも思い込んでる生ですが
このあと…どうしましょうかw アワワワ
いや最後まで何卒!見守ってやってくだたい(;´Д`)
今日もコメまりがとんございましたーっ!(´Д⊂ヽ
2009/10/02(金) 22:42 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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