2ntブログ

誰もがきっと、誰かの。(20)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 七月と別れ、駅を降りた貴史は一人、雨の降る夜道を歩いた。

 七月の言葉と、彼のことを考えながら。

 ――運命の相手、か……。

 七月は、弟との縁は、前世から決まっていたことのような気がしていると言う。兄弟であることの禁忌ゆえ自分たちを殺し、互いに長い遠回りをしたが、その全てが二人が結ばれるために必要だったことなのだとも言っている。

 七月の言うその遠回りの中に、貴史も組み込まれていたわけだが、誰に対しても本気になれない七月の、本当に想う相手はきっと、貴史でない、誰かのところにあるのだろうと、当時からぼんやり勘づいていながら、貴史は七月を口説いた。

 だから「好き」の単語が使えなかったのかもしれない。

 そういう意味では貴史自身も、七月を運命の相手ではないのだろうとどこかで思っていたのかも知れない。

 ――それなら、彼は……。

 彼の仕事に真摯な姿は、いつも期限ギリギリにしか原稿を上げない自分を奮い立たせ、事務所を立ち上げたばかりの焦りと不安を少なからず勇気づけてくれた。

 彼とは何度もニアミスし、二度、接触もあった。

 貴史自身は、少しは運命のようなものを感じていたつもりだった。

 けれども彼は、貴史を覚えてはいない。

 それは仕事に一生懸命だからか、それとも貴史に魅力がないからか。

 それとも。

「ノンケ、かな……」

 それが一番あり得るか、と苦笑し、マンションまでの近道、いつもの暗い睡蓮公園へと続く道へと入った。

 いつも人影のない薄暗い池沿いの小径。

 静かに降る雨は、傘に当たる音さえ立てることがない。貴史が一歩踏み出すたびに生まれる水音が、脇に植えられた低い生け垣に吸収され、そして消える。

 ただまっすぐに、歩く先に向けていた視線。

 その視界の中に。

 一つ、池のすぐ側で佇む人影を見つけた。




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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございマス!
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

「ビビビ婚」って誰がしたんでしたっけ、せーこサンだたすかw
どっかの雑誌でaikoサンは「運命の人はいっぱいいるよ」みたいなことを言ってますたw
七月ほどの絆でなければ運命の相手なんてそんなモノかも知れないすw
望木的には「そーだったらイイのになぁ」くらいのキモチだったと思うすw
けどここで出会ったが何年目?
コレはもうキター!みたいなカンジになってる…体でお送りしたいと思いますw
けど望木は一応その人のシアワセを願うタイプ(設定)なんで
強引に迫ったほうがイイ生には
ちょっともどかしい…という流れに持ってイきたアッ――!いと思ってるす
あーあーあーあーあー
相変わらず不安イパーイですが(´Д⊂ヽ
今日もありがとうございますた(´Д⊂ヽ
がんがって最後まで書ききりたいと思います!
よろしくお付き合いくだたいませでし(´Д⊂ヽ

2009/10/16(金) 22:41 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございマス!
>Mさん

コメレスしようとしたときには
もうコメの痕跡がなかったんですが
すいませんうっかり私が消してしまったんでしょか
あるいはfc2不具合?Mさん自身が消去とか、頂いたのは鍵コメだったでしょか
すいません色々分からないんですが
携帯の方にコメ通知が来てたんで
確かにコメいただいたんだろうと
レスさせていただきますー(*´∀`)
コメまりがとんございました!

やっと、生からしたら
望木初対面の場が今晩更新分からになりますw
劇的な展開になりますかどうか(;´Д`)
色々不安イパイではありますが
引き続きお付き合いいただければ
ウレシスでし(*´∀`)

コメまりがとんございますた!
2009/10/16(金) 22:50 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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