2ntブログ

誰もがきっと、誰かの。(23)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「見ず知らずの相手だから話せるってことも、あるっしょ? 関係者じゃねぇから俺の口から、あんたの周囲に漏れることはねぇし、俺は今、目の前にいるあんただけの、味方だから」

 言葉遣いは粗野にも聞こえるが、抑えたトーンで紡がれる言葉は優しく響く。

 彼の声は、静かに降り続ける雨のベールに包まれて、生だけに届けられる。

 生の傘に寄り添うように並んだ彼の傘。

 二つの傘の下、二人きり。

 ――あんただけの、味方だから。

 その言葉だけで、すっと心が軽くなる気がする。

 本当に話しても、いいのだろうか。

 彼と交わしたこの、ほんの少しの会話だけで、彼に心を許してしまいそうな自分に気づく。それが警戒と迷いを呼び、返って生の本心を抑えつけようとする。

 何も言えないまま、時が少しずつ流れてゆく。

「――名前」
「え、……?」
「名前、なんてぇの? 俺……貴史。望木貴史」

 先に名乗った彼の目が、生の名前を静かに待っていた。それをかわすことは、生にはどうしてもできなかった。

「……、……吉森です」
「吉森、何?」
「生。生きるの漢字一文字で生。吉森生です」
「生……スゲェ、いい名前」

 彼の目が、ほんの少し綻んだ。生に何を見ているのか、まるで愛しいものでも見るかのように。口角も僅かに笑みに上がった。

「――で、生。どうしたの」
「ほんとに、たいした話じゃ……ないんです」
「ても生、泣いてたじゃねぇかよ」

 教えたばかりの名を彼に呼ばれるたび、小さく胸が震える。

 ――もう少しだけ、彼と話をしてみたい……。

 そうすれば、この胸の小さな疼きの正体が、分かるかもしれない。

 生はそっと身体の向きを変え、身体ごと正面に、彼と向かい合った。



←22へ / →24へ
←1から読む


ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ランキング参加中す。よければクリック入魂一押ししてください。
 書く意欲に繋がってます(*´∀`)
携帯からはポイント反映されないことがあるようです(090907現在)
ぜひパソからの一押しお待ちしてます(*´∀`)



gdgdでお恥ずかしす……(;´Д`)
お付き合い、ありがとうございますorz



コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/10/19(月) 19:08 | | #[ 編集]
マズは名前の交換からw
>秘密コメ↑Aさん(*´∀`)

はじめましていらっさいませこんばんはー(*´∀`)
コメあ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございマス!
ハンドル欄にも熱いメッセージありがとうございます(´Д⊂ヽ

彼とか男とか、ずっと互いに名前を知らないまま進めてたので
やっと名前を言い合えてほっとしますたです(;´Д`)
望木が聞き出すのが唐突だったかなぁとかドキムネしてたので
そう言っていただけてほんとにウレシスです(´Д⊂ヽ

まだまだ未熟故書きながら(´Д⊂ モウダメポ←みたいによくなりますが
頂いたコメを糧にまたもう少しがんがれそうです(´Д⊂ヽ
これからも精進あるのみですが
まったーりやらせていただきますので
これからも何卒よろすくおながいいたします!

ありがとうございましたーっ(´Д⊂ヽ

***************************************************

>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

あいーやっとでし(*´∀`)
ほんと生ってばメガネ度数合ってないかもでしアワワワw
会いたいなーとか思う相手にぱっと会えたりすると
やっぱ運命なんじゃないか、って誰しも思いそう…
で望木もここはイっとかなあかんやろ、的にw
お持ち帰りまでイく予定でしエヘヘ(*´∀`)
んでメガネ取った生にも望木の顔(とかカラダとかw)
覚えこませてやりたいとw思ってるすw(予定w)

私がなかなか敬語をつかわない使えない人なんで
望木もそれを移植(?)してやりまんたw
生の方にもそれを許す雰囲気がある、という体でw
このまま年下なのにタメ口×年上なのに若干丁寧語な二人で
纏められたらなぁと思ておりまん

今日もありがとうございますたーっ!!


2009/10/19(月) 23:36 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ