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誰もがきっと、誰かの。(26)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 彼に付いて行けば、何が自分を待ち受けているのか。

 それはきっと、彼の、人の肌の温もり。

 本当は今、一番欲しているもの。

 彼の目をじっと見た。

 紳士的な言葉で生を誘った彼の目は、確かに生を傷つけるつもりはないと言っているかに見える。

 黙って生の話を聞いてくれていた彼を、もっと近くで感じたい。

 けれども本当に、彼の甘い言葉に誘われるまま、彼に甘えるように付いて行ってしまってもいいのだろうか。

 無言で、彼に問いかけた。

「それにさ、なんか……寒くねぇ? こういうの、梅雨冷えってのかな。雨ん中ずっと立ってたし、このまま一人で帰ったら風邪ひくかも。俺も……生も」

 生の生真面目な迷いに気付いたのか、貴史が明るく言葉を続けた。

「あーえと、生は誰かと住んでんの?」
「いえ、一人暮らし……です」
「それなら尚更。俺も独り身だし、今俺のことあっためられんの、生だけ、だから」

 優しい声。

 泣いていた生を慰める、という大義名分を使わないのは、声と同じ、彼の優しさだと思った。生に恩を売るのでなく、今温められたいと思っているのは自分の方だと、優しい言葉で生を求める彼なら。

 あるいは彼の言葉が本音だとしても。

 ほんのひと時だけでも、冷え切ったこの身体も心も、暖かく癒されることができるかも知れない。

 そして本当に、彼に求められているのなら。

 こんな自分でも、彼に体温を分けることくらいなら、できるだろう。

「じゃあ、……行かせてもらっても、いいですか」

 生の答えに、貴史の表情がほっと綻ぶ。明るく誘ってはいたが、あれでいて彼も緊張していたということが窺えた。

「……俺んちなら、すぐそこだから」

 行こう、と生を促す視線を残し、貴史が身体の向きを変えた。歩き出した彼に続いて生も半歩遅れて歩き出し、やがて生の歩調に合わせる貴史と並んだ。



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コメント
きゃ~ん(*´∀`*)
おぉ!!望木たんからのお誘いきましたね~~ドキドキ。
強引じゃないけど、相手が誘いにのりやすい様な言い回しと優しさにホント、いい男だな~と思っちゃいました(笑)
その調子で傷心の生たんをメロメロに甘やかしてあげて欲しいです~(*´∀`*)
2009/10/22(木) 22:20 | URL | chihiron #-[ 編集]
ああああああドキムネ(;´Д`)
>chihironさん(*´∀`)

ジムで二度それとなくアピールしてみても通じなかったんで
「誘い文句です」とちゃんと前置きして誘ってみますたw
これで拒否られたらかなりショックになるすよねw
望木もあれでいて自分より人の幸せ願ってしまうタイプでして(設定w)
生が嫌がることは絶対しないでし(*´∀`)
とか言いながらその物分りの良さがアダになる…予定すw
ああああこの後もまだまだちゃんとまとめられるか
不安イパイでごじゃいやすが
引き続きのお付き合いよろすくおながいいたしますー!
今夜もコメあざした!(*´∀`)
2009/10/23(金) 00:35 | URL | ベラ #-[ 編集]
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