誰もがきっと、誰かの。（46）（R18）

　しっとりと重なる唇。

　甘く、蕩けるように身体から力が抜けてゆく。貴史の唇に優しく食まれ、小さく出した舌でその唇をそっと舐めると、貴史がふと表情を和らげた。

「生……スゲェ良かった」
「ん、……僕も」

　顎に掛けられた貴史の手に、頬を撫でられる。その優しい仕草に、心身がゆったりと凪いでゆくのを感じる。

　心地好い疲労感に目を細めると、瞼がゆっくり下りてきて、生の視界を閉ざそうとする。そんな生を、貴史が窺うように覗き込んだ。

「生、眠い……？」
「ん……、ごめん……大丈夫」

　少し無理に瞼を開けると、優しく笑う貴史が目に映った。

　抜こっか、と言いおいて、貴史がゆっくりと身体を引いた。

「ぁ、……」

　体内から去ってゆく貴史を引き止めるように、無意識に背後が収縮する。まだ熱を孕んでいた粘膜は、その穏やかな摩擦さえも過敏に反応し、小さく身体が震えた。

「生、大丈夫？」
「ん……平、気」

　本当は、まだ繋がっていたかった。

　けれどもこのまま二度目の行為に移る程の余力は、生に残ってはいなかった。

　仕方ないな、と己に言い聞かせ、少し寂しく笑みを浮かべながら生は小さく息を吐いた。

　生と自らの始末を手早く済ませ、生の隣に身体を落とした貴史が、生に手を伸ばす。その腕にそっと、引き寄せられた。

「生今日、疲れたんだよね」

　貴史の言葉に、今朝からのことをふと思い出し、生は緩く笑って首を横に振った。

「あんな小さいことであんなに落ち込んで、みっともないね……。ほんと、恥ずかしいっていうか……」
「みっともなくなんかねぇよ。生が落ち込んだり傷付いたりすんのは、きっと生が一生懸命だからだよ。……仕事も、恋愛も。適当にやってたら、落ち込むことも傷付くこともねぇって」
「そ、かな。ありがとう……」

　貴史の優しい声は、先刻までの濃密な空気を、ゆったりとたゆたう穏やかなものに変えてゆく。


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一回目性描写やっと終わりました(；´Д｀)
お付き合いありがとうございましたｗ
ちょっと(・ё・)クサーな望木の台詞でぶった斬りすいません(；´Д｀)
引き続きのお付き合いよろすくおながいいたします！