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誰もがきっと、誰かの。(55)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「……、それでも、親は長生きしてくれた方がいいよ……」

 貴史がそう言うのなら、生にしても同じことだ。両親に孫の顔を見せてやることは、できない。

 幸い生には妹がいるが、今のところ結婚する気配のない彼女にだって、親に孫の顔を見せてやれるかどうかなんて分からないことだ。

 たとえ両親に、まだ打ち明けていない生の性指向を知られたとしても。もしそれを生が話して、彼らに受け入れてもらえなかったとしても。

 それでも、両親にはできれば長く生きていてもらいたいと、生は思う。

 けれども両親を亡くしてしまった貴史はただそうやって、自分の孤独に対して、自分自身にそう言い聞かせてこずにはいられなかったのかも知れない。

 そう思い至ると、胸が締め付けられた。

 貴史を抱き締めたくなったが、今この話題でそうすることは、きっと貴史の望むところではないだろうと、生は結局何もできずにただ立ち竦むだけだった。

 素直に思って出た言葉だったが、貴史の本当の気持ちも家庭の事情も知らずに、少し出過ぎたことを言ったかと、生は貴史を窺うように見詰めた。

 貴史は生の視線を背に受けながら、黙ったままトースターから焼けたパンを出し、皿に乗せてバターを塗った。コーヒーメーカーに出来ていたコーヒーをデカンタからマグに注ぎ、二人分の朝食が揃うと、貴史はマグを持ってゆっくり振り返った。

「……だね」

 貴史は生ににこりと微笑を返し、飯できたよ、と生にマグを手渡した。

 ダイニングへと促がされ、チーク素材だろうか、落ち着いた色の四角いテーブルに二人でマグと皿を並べた。テーブルの隣り合う辺にそれぞれ座ると、貴史は短くなった煙草を最後に大きく吸い込んでから、テーブルの中央にあった灰皿でそれをにじり消した。


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コメント
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2009/11/20(金) 16:54 | | #[ 編集]
こちらこそ!ありがとうございますです!
>秘密コメ↑Kさん(*´∀`)

またしても遅レス申し訳ありませんですアセアセ

いやいやいやいやいやほんとに!
私の迷い(目玉焼きorスクランブル)(←w)が
如実に出てしまってたとこだったので、
この書き方のままじゃドッチで飲むのか
ほんと分かんない描写でしたですーっ
このように読んで下さる方から反応をいただいて、
初めて分かることもたくさんありますんで!
ほんとにいただけるコメントはありがたいと思ってます~(*´Д`)

今晩更新分でスクランブル、生がヒトクチ目をクチにしますが
なんだか私がすごいおいしいスクランブルを食べたことがないからか
もともとの力量の所為か
あまりおいしそうな表現ができなかったよな気がするす(;´Д`)
もうすこしグダグダ続きますが(´Д⊂ヽ
引き続きのお付き合い何卒よろすくおながいいたします(´Д⊂ヽ
またのコメお待ちしてます(*´∀`)
2009/11/21(土) 22:41 | URL | ベラ #-[ 編集]
ギャーッ今更ながら↑追記ですすいませんorz
>秘密コメKさんーっ!

上のレスですが!!!
このままじゃドッチで「飲む」のか
ってーーーっ!!
すいません「飲む」ってなんやねん、ってカンジすよね
「どっちを作るのか」
が正しいすよね、ほんとすいませんw
ビール飲んでイイカンジになりながらのレスだったんで
こんな自動書記にも似た(?)レスになってしまいました
ほんと申し訳ないでしアセアセ

こんなノンキなアホ管理人ですが
これからも何卒お付き合いいただけましたら
ウレシスでし(´Д⊂ヽ
ほんとすいませんありがとうございましたーっ!
2009/11/23(月) 22:58 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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