「生は実家暮らし? それとも会社の寮にでも住んでんの?」
ゆったりと流れる朝食の時間。
貴史がコーヒーを静かに啜りながら生に聞いた。
マグの取っ手に通された、貴史の骨ばった指が生の視界に入る。
その手の甲には、浮き出た血管。
他人のものならなんてことのない身体の部位にさえ、貴史のものだとときめくように胸がどきりと跳ね、そんな自分に生は僅かに苦笑した。
ゆったりと流れる朝食の時間。
貴史がコーヒーを静かに啜りながら生に聞いた。
マグの取っ手に通された、貴史の骨ばった指が生の視界に入る。
その手の甲には、浮き出た血管。
他人のものならなんてことのない身体の部位にさえ、貴史のものだとときめくように胸がどきりと跳ね、そんな自分に生は僅かに苦笑した。
「ん……入社してしばらくは会社の独身寮に住んでたんだけど、今は単身者向けのマンションの部屋借りて一人暮らししてる」
「寮はなんで出たの? やっぱ期間制限みたいのがあったり?」
「いや、総務の先輩に『貯金が百万貯まったら寮を出てかなきゃいけないんだよ』って言われて」
「え、そんな規則があんだ?」
トーストをかじる手を止めて、貴史が生に目を向ける。生はふっと笑って首を横に振った。
「ほんとはそんな決まり、ないんだよ。先輩の冗談だったのに、僕それ真に受けちゃって。もうすぐ百万貯まりそうだって頃から部屋探し始めて、入居手続きまで済ませて、『百万貯まったので退寮します』って申請しに行ったら『お前それマジで信じてたの』って。ちょっと考えたら嘘だって、すぐ分かるのにね」
自分でも少し馬鹿正直過ぎたと思う。こんな曖昧な基準で退寮が左右されるなんてあるはずがない。
その時は真剣だったが、今となっては恥ずかしくも可笑しくもある過去。貴史に話し終え、生は馬鹿だろ、と小さく肩を竦め、コーヒーを啜った。
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「ほんとはそんな決まり、ないんだよ。先輩の冗談だったのに、僕それ真に受けちゃって。もうすぐ百万貯まりそうだって頃から部屋探し始めて、入居手続きまで済ませて、『百万貯まったので退寮します』って申請しに行ったら『お前それマジで信じてたの』って。ちょっと考えたら嘘だって、すぐ分かるのにね」
自分でも少し馬鹿正直過ぎたと思う。こんな曖昧な基準で退寮が左右されるなんてあるはずがない。
その時は真剣だったが、今となっては恥ずかしくも可笑しくもある過去。貴史に話し終え、生は馬鹿だろ、と小さく肩を竦め、コーヒーを啜った。
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コメント
>秘密拍手コメYさん(*´∀`)
あいー生、ホンモノ志向でしw
筋肉とか骨とか、そゆのがスキなようですwwww
そして二重の(?)萌え、ありがとうございまし(*´∀`)
貴史もその現場に居合わせなかったことにくうっ、と悔しがってるみたいでしw
ここ数話、書いてる人も分かるよなグダグダ進行ですが(すいませ……orz)
二人の会話で盛り込みたいことはだいたいこれで全部盛り込んだので
また少しずつ話を展開させていきたいと多います(*´∀`)
引き続きのお付き合い、ぜひよろしくお願いいたします!ヒラに!(´Д⊂ヽ
あいー生、ホンモノ志向でしw
筋肉とか骨とか、そゆのがスキなようですwwww
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貴史もその現場に居合わせなかったことにくうっ、と悔しがってるみたいでしw
ここ数話、書いてる人も分かるよなグダグダ進行ですが(すいませ……orz)
二人の会話で盛り込みたいことはだいたいこれで全部盛り込んだので
また少しずつ話を展開させていきたいと多います(*´∀`)
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