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誰もがきっと、誰かの。(61)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「生見てたらもっと俺も頑張んねぇとな、って。思えたんだよね。部外者の俺でさえそう思うんだから、もっと近くでちゃんと、生の頑張りを見てる人、いると思うよ」

 貴史の、柔らかいのにどこか芯の通った声質の所為か、朝のゆったりとした穏やかな空気の所為か。

 貴史から掛けられる言葉は一時の気休めのような作られたものでなく、彼が心の底からそう思っているかのように、生の心に優しく響いた。

「早く、認められたらいいよな」
「ん……」

 貴史にそう言ってもらえただけでもう充分、心は満たされた。たとえ結果が思うように出なくても、この言葉を糧に、きっとまた、週明けから頑張れる。

 それでも本当に、自分の仕事が認められる、そんな日が来たらいいと思う。

「俺は、遅かれ早かれ生が認められる日が来ると思うよ」
「そ、かな。そうだといいな……」

 貴史に言われると、本当にそんな日が来るかも知れないと思えてくる。

 そしてできるのならその日を、彼とともに迎えたい。生を、包み込むように認めてくれた、貴史と。

 テーブルの上、両手で包むように握っていたマグカップから視線を上げて、貴史を見た。

 口元を笑みに和らげると、貴史からも柔らかい笑みが返ってくるのが嬉しい。

「俺も、もっとちゃんと、頑張るよ。……締め切り前日までには原稿上げて、余裕持ってチェックするとかね」

 最後は少し冗談口調で笑い、貴史はゆっくりとくゆらせていた煙草を灰皿で消した。

「――ごちそうさま。ほんとにありがとう。お礼って言うのもなんだけど、お皿、僕が洗うよ」

 貴史の煙草から煙が消えてゆくのを見ながら、マグカップの最後の一口を飲み干して、生は静かに立ち上がった。貴史の答えを待つように彼を見ると、じゃあお願いしようかな、と言って、貴史も一緒に立ち上がった。


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やっと立ったw

コメント
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2009/11/26(木) 21:28 | | #[ 編集]
くララが勃った!w
>秘密コメ↑Kさん(*´∀`)

夕べも眠気に勝てず早々に寝てしまいレス遅くなりましたすいませんーっ
こんばんはKさん今夜もお越しいただけましたでしょうか
いつもありがとうございます~(´Д⊂ヽ

望木はなんだか生に全く認知されなかったことが引っかかってて
前から望木側は生を知ってた、って言えない、みたいなカンジでお送りしておりますw

へっへっへw Kさんステキな読みでしありがとうございますー(*´∀`)
今夜更新分でそんなカンジが明らかになりつつありますです(*´∀`)

なんでしょう望木はせふれ生活が長かったからでしょか
相手の気持ち最優先がもうクセになってるっぽいイメージでw
嫉妬すべき状況も、諦めとか人生ってそんなもの、みたいに
流してしまいそうなw 気がしたんでそゆ流れになんとか…
もってけるかどうかいつまで経ってもドキムネが収まりませんがorz
引き続きのお付き合い何卒!よろすくおながいいたします~(´Д⊂ヽ

コメあざした!
2009/11/27(金) 22:52 | URL | ベラ #-[ 編集]
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