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誰もがきっと、誰かの。(63)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「夕べ生が立ってた池さ」
「え、うん」
「今まだ葉っぱだけなんだけど、梅雨明けて少ししたら花が咲くんだよ。池一面、睡蓮の花」
「そうなんだ……」
「すげぇ綺麗なんだ。咲いたら見に行こうよ、一緒に。生にも、見せてやりてぇな」

 吸い込まれそうなくらいにぽっかりと、漆黒の闇だったあの池が、初夏の爽やかな日差しに包まれている様子に思いを馳せた。

 水面には、まだ見ぬ睡蓮の花。

 それを見ているのは貴史と生の二人。

 思わず、目元が綻んだ。

「ん……、いいね。楽しみにしてる」

 食器を見つめたまま、小さく頷いた。

 泡立った食器。貴史の手が伸びてきて、水道のノズルを上げた。温かな湯が蛇口から出てきて、泡を流してゆく。

「横にいて、役に立ったっしょ?」

 貴史が少年のように笑うと、生の胸はまたきゅんと締め付けられた。

 洗い流した食器を全て脇に置くと、また伸びてきた貴史の手が、ノズルを下ろして湯を止めた。

 その手が、ゆっくりと、生の濡れた手を取る。

 もう一方の手に持っていた煙草は、結局火が点けられることのないまま灰皿の上に置かれた。

「食器洗い、ありがと」

 貴史の手に、そっと引き寄せられる。無言でただ見つめ合い、そしてどちらからともなくゆっくりと、唇を近づけた。

 その時、インターフォンから、涼やかにも聞こえるチャイムの音が、この部屋への来訪者を告げた。

 貴史がその音源に視線を向け、その視線を追って生もインターフォンのあるらしき方向に視線を向けた。

「あの……誰か、来たんじゃ」
「……かな、でも俺心当たりねぇし」

 新聞の勧誘かな、と貴史が首を竦めた時、今度は携帯電話の着信を告げるメロディーが、寝室の方から聞こえてきた。


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コメント
誰が来るのか…。
気になるーーー!!!
ここで続くとは…ベラさんのイジワル~っ(;´Д⊂
>望木はSMプレイが得意なイメージ設定を放置している
のコメレスに微笑んでしまいました(*´∀`)
そんな望木さんもありなのかも…(*゚∀゚)=3
いくたんを結構焦らしてましたもんね~。テクニックの上に成り立つ焦らしに萌えます~~!!
料理の上手い男は床上手っぽいので(←淳汰もですね♪)そこもとってもワクワクさせられます。
ごはんで甘やかすの、好きです(*´∀`)

体も気持ちもお腹も満たされたとこに来るのが誰なのか気になりますが…明日は日付が変わった瞬間に読みそうです(笑)


2009/11/28(土) 01:14 | URL | chihiron #-[ 編集]
七月ですた\(^o^)/オワタ
>chihironさん~(*´∀`)

わーっすいませんです
気ぃ持たせてといて七月かよ、みたいになられませんでしたでしょかドキムネ
望木は色々器用なイメージがあるんで
縄さばきなんかがシュ、とかw
サラっとできそうなんじゃないかなぁとかw
生も目覚めたらチャレンジしてみたらイイかもでし(?)w
でほほんとの私のきぼんは
二人で仲良くお料理がイイでし(*´Д`)

今夜もお越しいただいたんでしょうか
ありがとうございました!!!
グダグダが身に付いてしまってなんだかダラダラになりつつありますが
引き続きまたーりと
がんがりたいと想います(*´∀`)

お付き合い何卒よろすくおながいいたしますっ!
2009/11/29(日) 04:17 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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