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誰もがきっと、誰かの。(68)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「だからって。俺んとこに来なくても。仕事でも一緒にいんのに、休みにまで顔合わせたくねんじゃねぇの、普通」

 苦々しく笑って、貴史はコーヒーを啜った。

「他にあてがないんだよ。もれなくセックス期待されちゃって、断るのも説明するのもいい加減面倒なんだよね」

「そんなの、今までダチだろうとなんだろうと、食えそうだと思ったら速攻食ってきたからだろ?」

 同情の余地はないとばかりに貴史は苦笑に身体を揺らすが、声色には棘はなく、むしろそんな彼の全てを認めているかのようにも見える。

「そうなんだけどね。だって七斗と一緒になれる日が来るなんて、思わないじゃん。それなら、と思って楽しんでただけだよ。その点望木は安心だし。言わないだろ、俺とヤりたいって」

 七月はピザを頬張ったままさらりと言い退けて、口の中の物を流し込むようにビールを呷った。一度に頬張り過ぎたのか、喉が詰まったらしく胸を叩く仕草さえ、どこか感じさせる雰囲気には艶を含む。

「そりゃ言わねぇけどさ」

 呆れたように答え、望木は小さく笑う。その目はやっぱり、七月を咎めるようなものでは決してなく、彼を温かく見守るような類のものだ。

 彼は確かに本人さえ良いと言うのなら、関係を持ってみたいと思わせる人物なのかもしれない。話を聞いている限りでは、彼のその魅力を最大限に利用してきた、という感じだろうか。一体彼はどんな生活を送ってきたのだろう。

 ぼんやりとそんなことを考えながら、生はただ黙って二人の会話を聞いていた。そこに貴史が生の方をくるりと向いて、仕方ねぇ奴だろ、と肩を竦めてみせた。

「こいつね、色々ヤっといて結局弟とくっついてんの。濃いだろ」
「そうなんだ……」

 どう反応すればいいのか分からずに、生は曖昧に笑って相槌を打った。
 



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