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誰もがきっと、誰かの。(74)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 貴史の言葉を噛み締めるように聞きながら、彼の苦笑を見つめた。

 貴史は、突然やって来た七月を家に迎え入れ、彼に口悪く言葉を投げかけていたようでいて、根底では彼を理解し、全てを許している。

 これが自分以外の人間の存在を受け入れ、認めるということなのだろうか。

 そして貴史は、それができる男なのだろう。そう思うと、生の心に、ろうそくに火を灯したようにほっと、小さな熱が生まれた。

 それは紛れもない、貴史を好きだと想う気持ち。

 きゅ、と音を立てて、胸が締め付けられる。

「許すなんてそんな、ほんとに、楽しかったから」

 気にしなくていいよ、と貴史に笑みを向けた。

「そっか、なら良かった」

 貴史の苦笑が、安堵の笑みに変わる。

 その笑みに、強く魅せられる。

 その分、貴史を好きになってしまうことが、切ない。

「生?」

 貴史に、呼ばれてふと、顔を上げた。

「朝飯のあとの続き、できる?」
「ん……」

 目を伏せて、頷いた。

 貴史が本当に抱きたい相手が生でなかったとしても。

 貴史の温もりに触れたいと願う気持ちには、抗えなかった。

 そっと手を取られ、寝室へと導かれる。ぱたん、と静かな音を立てて寝室のドアが閉まると、生の心臓はそのドアの音より大きな音を立てて跳ねた。

 貴史に聞こえてしまっただろうか、と貴史を見ると、貴史の真っ直ぐな視線に捕らえられた。

「生」

 優しく呼ぶ、貴史の声。

 互いに、唇を寄せ合った。

 その時また、携帯電話が着信を告げた。

 くぐもったその音は、生の背広のポケットからのものだった。


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なんかほんとすいません(;´Д`)
今日もお読みいただきありがとうございますた!


コメント
秘密拍手コメでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございマス(*´∀`)
>秘密拍手コメiさん(*´∀`)

あいー今度は生のお邪魔虫でしw
ド本命のお邪魔虫…になりますでしょか、
またまた誤解を産む予定でし\(^o^)/

ナイナイ、みたいな偶然が重なることこそヤオイファンタジーw
といっても私が考え付くのはこの程度でorz
大事件になるワケではなくナーンダ、みたいに
読んで下さる方がお思いになること必至
ハズカシスですがこのまままたーり突き進ませていただきます(言い切ってみますたw

引き続きのお付き合い、ありがとうございますです!(先にお礼言ってみたりw
2009/12/09(水) 22:43 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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