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誰もがきっと、誰かの。(78)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 生が悪いわけではないものの、田辺の誘いに頷いてしまったことへの後ろめたさにどきりと心臓が跳ねる。

 生の性格上、嘘や誤魔化しの言葉は持ち合わせていなかった。なのに、本心をさらけ出す勇気もない。

「……、……うん、夕食に」

 誘われた、と結局正直に答え、いたたまれない気持ちに下を向く。

「向こうが生手放すの惜しくなったんじゃね? 強気に出ろよな、生がしんどくなんないように。彼氏、生とヨリ戻したいんじゃねぇの? ……良かったじゃん」
「え……」

 驚いて、顔を上げた。それが貴史の本心なのかと、貴史に問いかけるように貴史を見た。

 生の無言の訴えをどう取ったのかは分からないが、貴史はただ、まるで生を祝福するかのように、唇の端を笑みに上げてみせた。

「今日はもう、……やんない方がいいね」

 このあと、前の男と会うと分かっていてセックスしようなんて無茶を、貴史が言うはずもない。けれども誤解だと、縋ったところで何の意味もない。

 貴史には別の、想いを寄せる相手がいるのだから。

「……、……うん」

 全てのタイミングの悪さに絶望的な気持ちになりながら、生は貴史に頷きを返した。





「野菜カレー? 生、草食系もいいとこじゃん。男なら肉食えよ、肉」

 時刻は夜六時。田辺の指定したカレー専門店で、田辺の張りのある声にはっとして顔を上げた。

 貴史に二度目の行為はやめておこうと言われてからここまで、どこか記憶が曖昧だ。そう言われてすぐ、部屋着からスーツに着替え、急かされているわけでもないのに言葉少なに貴史の部屋を出た。

 彼の連絡先さえ聞かないまま。


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コメント
こんばんは~週末のまとめ読みに来ました。(笑)
うーーーーん、二回目というか続きちょっと期待していたのに、田辺さんからの電話で更に距離がひらいてて、あぐあぐあぐ...。
難しいですね。
うわーーーん、また来ます!
ポチリンコ☆
2009/12/13(日) 02:10 | URL | Rink #ngFZG5b6[ 編集]
こばわ~(*´∀`)
>Rinkさん(*´∀`)

今夜もお越しまりがとんございます(*´∀`)
もーほんとすいませんウジウジしてますふたりとも(貴史・生のふたりw)
大人らしく引き際をダイジにしようとしすぎて
本心だせずにガマンした結果
こじれてるんすねw
年食うとケンカもしにくくなる代わり
ココロを底から通じ合うのも難しくなりそうす(イメージw)(とかw)
すいません田辺がなんかヤなヤツですが
温かい目で見守ってやってくだたい(私を)(´Д⊂ヽ

ありがとうございますた~(´Д⊂ヽ
2009/12/13(日) 23:04 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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