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誰もがきっと、誰かの。(81)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 慌ててカレーを掻き込む田辺を待って、一緒に店を出た。

 店の前で生の行く手を阻むように立ちはだかる田辺を、僅かな上目でじっと見る。

 メインストリートからは一本中に入った歩道のない道路。さほど広い道ではないが、駅から程近いこの通りにも、まばらとは言えない程度に人通りはある。

 無言で睨み合う自分たちの姿を思うといたたまれない気持ちになったが、人目を気にして自分の部屋へ田辺を連れて帰ることは、彼にまたつけ込まれてしまいそうで憚られた。

 生は両手を拳に握った。

「ここまで来てもらって悪いけど、ここで」

 さよなら、と田辺を避けて道を行こうとすると、田辺の手が伸びてきて、生の二の腕を掴んだ。

「マジで生、なんでだよ」
「言い出したのは、大敬の方だよ」
「でも、それはさっき言っただろ? もう会えないと思ったから」
「僕は、大敬にとってその程度の理由で、そんなことが言える程度の存在でしかないんだよ」

 生は田辺にとって、会えなくなるなら会わなくていいし、会えるのなら、会っておこう、と思う程度の存在だと、田辺に宣言されたに等しい。

 一週間前と今日、田辺の不用意な言葉で生は二度までも傷ついた。きっとそれさえ田辺は分かっていない。

 諦めたように、そして憐れむように、田辺をじっと見る。

 田辺がぐっと押し黙り、僅かに表情を歪めた。

「でも生、……」

 訴えるような田辺の瞳は、どこか憐憫を誘う。いつも明るい分、その目で見詰められると頷かずにはいられなくなる。

 貴史に出逢っていなければ、情に流されて田辺を許していたかも知れない。その程度には、まだ田辺を好きだった。

 ――でももう、振り回されたりしない。

「ごめん大敬。手、離して」




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コメント
っ、あ~~~~!!!
 生さん、よく言った!!
 がんばった~。
 これだけ言えただけでも、結構大きな成長ですよね(←上から?)
 ガンバレ、ガンバレ♪
2009/12/16(水) 08:26 | URL | 如月久美子 #-[ 編集]
アッ――!!
>如月さん(*´∀`)

あいー当初の脳内の予定とはテンションがかなり違ってしまいましたが
なんとかちゃんと(?)(多分)田辺に決別できましたw
流されずにやれたのは望木の力が大きいと思うす
いやほんとたった一晩で成長成長w
だからってすぐはい望木へ、とならないんじゃないかと
それが生かなぁとか思ったりもするんすけど
ただ私がダラダラ書きたい事を残してるんで
まだくっつけたくないだけだったりして\(^o^)/オワタ
こんな身勝手な書き手ですが引き続きよろすくでし(*´∀`)
まりがとんごじゃいやした!

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>>秘密拍手コメYさん(*´∀`)

応援まりがとんございますた!!
生にがんがらせてみますた(*´∀`)
どうだったでしょか、いいカタチで別れられたでしょか
生には溜め込んだ3年分をもっと大爆発させたかったんすけど
力不足といつの間にかの流れで
こんな静かな(?)別れとなってしましますたorz

貴史には遠慮で会いに行けず、梅雨はあけてしましますアワワ(;´Д`)
もう少しもどかしくウダウダグダグダ続きますが(ほんとすいません
引き続きよろすくおながいします!
いつもお付き合いありがとうございます(*´∀`)

2009/12/16(水) 22:59 | URL | ベラ #-[ 編集]
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