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誰もがきっと、誰かの。(83)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 生に紙カップのコーヒーを差し出したのも早々に、自らが腰を据えるのも待たずに話し出した加藤の言葉に、生は一瞬耳を疑った。

「え、……とおっしゃいますと」

「大八木店の方からナシノさんに打診してみて欲しいと依頼も何度かあったんですけどね、ウェアの貸与、メンバーさんからも結構好評だったみたいで。会社帰りなんかだと、荷物が少なくなっていい、とかね。ならこう……もっとちゃんとやればメンバーさんから少し料金を頂いてでもウェアの貸与はサービスとして成り立つんじゃないかと、そんな話です」

「ほんと……ですか」

 嘘のような話だと、茫然と聞き返した。

「まず決めていくことは、貸与に必要なウェアは宣伝効果も見込んでいただいて、どのくらいまで価格を下げて頂けるか、ってところですか。細かいところはうちの要望を聞いていただきながら、今までウェアの販売で頑張ってきていただいた、吉森さんの方にこのお話をうちから振って、吉森さんのから企画書を出していただく、という形でお願いしたいんですが」

 話の概要を言い終えて加藤はにっこり笑い、改めて生に「冷めないうちにコーヒーどうぞ」と上がる湯気も少なくなった紙カップを手のひらで指した。

 生一人の判断でやってきた仕事を上司からダメ出しされ、貸与のために預けていたウェアをジムから引き上げてきたのは十日前のことだ。

 また一から仕切り直しだと、覚悟を決めて気合いを入れ直すことができたのは、あの日貴史に出逢うことができたからに違いない。

 ――『俺は、遅かれ早かれ生が認められる日が来ると思うよ』

 十日前のあの日にもらった、貴史の言葉があったから。また頑張れると思えた。

 ラクトの社屋を出て、空を仰ぐ。

 今日、梅雨が明けたばかりの空は青く澄んで、街路樹の深まる緑が映える。



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冒頭の加藤が座るのも早々に話した言葉の内容は前回(82)真ん中らへんです
コレ↓
「今日お呼びしたのはですね、大八木店一店だけでされてましたウェアの貸与を、
うちのジム全店舗に広げて本格的にやってもらいたい、と言うお話をさせて頂こうかと思いまして」

分かりにくくてすいませんorz



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