2ntブログ

誰もがきっと、誰かの。(85)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「望木これ、セット価格、数字違ってる」

 向かい合う机、パソコンのディスプレイの横からにひょいと顔を出した七月が貴史を覗き込む。その涼やかな顔をちらりと見て、貴史は大きくため息を吐いてデスクに突っ伏した。

「あー……またやってる?」
「んー、うん。「2」じゃなくて「5」」
「あーもー悪ぃ、ダメだなこんなことじゃ……」

 顔を顰め、わしゃわしゃと髪を掻き回した。

「望木、不調だね」
「んー……ごめん、マジで」

 ここのところ小さなミスが続いていた。

 幸い、今のところ全て七月とのチェック段階で気づいたおかげで大事に至らずに済んではいるが、このままだといつまた刷り直し等、多方面に迷惑のかかる由々しき事態に陥ってもおかしくない。

「気合い入れねぇとなぁ。分かってんだけどな、つうか入れてやってるつもりなんだけどなぁ……」

 のっそりと身体を起こし、脇の煙草に手を伸ばす。手に触れた煙草のパッケージからは、空っぽの感触が返った。貴史は僅かに忌々しげに舌打ちをして、それをくしゃりと握り潰した。

「煙草の量も。増えてるね」

 七月に指摘され、灰皿に目を遣ると、スチール製の灰皿の上は今にも雪崩を起こしそうな吸い殻の山だった。

「俺、一応非喫煙者なんだけど、もう全然、吸っちゃってるよね、副流煙」
「あー……悪ぃ」

 素直に謝って、灰皿を手に立ち上がる。事務所の隅、ゴミ袋が置かれた棚まで歩み、新しく取り出した一枚にその山を捨てた。

「なんか溜まってんの?」
「あぁん?」
「俺を目の前にしておきながらヤれないから、とか?」
「は? それはもうねぇっての、お前だって分かってんだろ?」

 眉を寄せ、七月を睨み見ると、七月は、そうだったよね、と貴史の視線にも全く動じた様子もなく笑った。



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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございマス!
>秘密拍手コメYさん(*´∀`)

恋に悩んでオンまで影響あるのは仕事人としてどうよ、と思いつつ
でもやっぱり思い悩んでる様子、ったらコレかと思って
書いてしまいまんた\(^o^)/オワタ
オンとオフを切り離せないのはカッチョワルスと思ってましたが
萌えセンサーピコピコしていただいてヨカタです~(*´Д`)
今度は生が貴史を引っ張り上げる番なんじゃないかと思いつつ
生はあんまりうまいこと言えないよな気もするんで
結局は貴史が持っていきそうな気もしますwww
が、全て予定は未定でorz

二人でラブラブスクランブルモーニング、迎えさせてやりたすです!!
今夜もお越し、ありがとうございますた!!!
2009/12/21(月) 00:30 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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