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誰もがきっと、誰かの。(87)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 貴史は再び椅子に座って脱力し、ため息と同じだけ長く煙を吐き出した。

「じゃなきゃ、……」

 ――生が会いに来てるはずだろ?

 じくりと痛みに疼く心を紛らわせるように顔を顰め、人差し指と中指の、二本の指で煙草を挟んだ手を上げて、親指でぽりぽりと頭を掻く。

 貴史からは生に、貸した靴紐を返す、と言う次会うための口実を用意した。そして生にそれを託してしまった以上、貴史にできることといえば、あとはただ待つことだけだ。

 例え連絡先を教えていなかったとしても、生は貴史の自宅を知っている訳だから、その気があれば会いに来ることは容易にできるだろう。何しろ生は毎日のように、営業先であるあのジムに通っていたのだ。貴史の自宅は生の活動範囲内なのは間違いない。

 真面目そうな生の性分を思うと、貴史に特別な感情がなかったとしても、借りた靴紐は返しに来るだろうと淡い期待をしていたのだが、二週間を過ぎても尚、一向にその気配のないところを見ると、差し詰め生にまるきりその気がないか、あるいは元サヤに収まった彼氏に義理立てしてのことか。

 いずれにせよもう、諦めた方がいいのかも知れない。

 それもまた、運命なのか。

 それとも貴史が感じた運命は、思い違いだったのか。

 また一つ、ため息が出る。

「ほんとにヨリが戻ってるのかどうか、確かめなくていいの?」

 何か気になるのか、七月が心配そうに首を傾げる。

「……ほんとはそれまでに偶然だけど何度か会ってるし、会話も交わしたことだってあんだよ。なのに向こうはこの前のあの日が初対面だと思ってるくらいだし。どっちにしても俺は生にとって大した印象はねぇんだよ、きっと」

 慣れない仕事に一生懸命で余裕がなかったのだろうとは思う。けれども未だに生から何のアクションもないとなると、結局は生にとって自分はその程度だったのだと思わずにはいられない。



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コメント
 望木さん!
 そんな弱気なっ…orz
 生タンもあんなにがんばったのに。
 この勘違い、いつまで続くんでしょう。ヤキモキ。
2009/12/22(火) 08:29 | URL | 如月久美子 #-[ 編集]
望木、ヨワヨワだたす(;´Д`)
>如月さん(*´∀`)

レス遅くなりました申し訳ありません~~~っ!
どうも最近眠気に勝てず…
話もなんだか寝ながら書いてるよな気がするすorz
わかってますあれやこれやと遊び過ぎだす\(^o^)/
こんな不甲斐無い管理人ですが
どうか温かい目で見守ってやてくだたい(´Д⊂ヽ

望木、なんでしょうこの弱気w
せふれ生活が長かったせいでヤった=即恋人、とは結びつかないんすね
生の方がまだその法則を信じてそうすけど
ちょっと前にそう思ってた相手からフラれてるんで
結局ふたりともニントモカントモw
どうやって誤解を解くか未だにネリネリ中という自転車操業っぷりすorz
いよいよ追い詰められてきますた(私がw)\(^o^)/オワタ
急にオヤスミしたら…察してやってくだたい。・゚・(ノД`)・゚・。

ほんといつもすいませんこんなんばっかで
引き続きのお付き合い何卒よろすくおながいします!!
コメあざしたーっ!
2009/12/23(水) 23:47 | URL | ベラ #-[ 編集]
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